従業員数とは?人数ごとに必要な労務対応や数え方・範囲を解説

従業員数は、企業規模を示すだけでなく、就業規則の作成、社会保険の適用、障害者雇用、産業医の選任などの労務対応を判断する基準になります。一方で、正社員だけを数えればよいのか、アルバイトやパートも含めるのか、派遣社員や役員はどう扱うのかなど、実務では迷いやすい点も少なくありません。
従業員そのものの定義や「社員」「労働者」との違いは別記事で詳しく扱っているため、本記事では「従業員数」に絞って解説します。雇用形態別の数え方、単体・連結の違い、人数規模ごとに必要な労務対応を整理します。

- 従業員数は、雇用契約を結ぶ正社員 / 契約社員 / アルバイト / パートなどを原則として含めて考えること
- 役員 / 派遣社員 / 業務委託 / 出向中の労働者は、契約関係や制度ごとに扱いが変わること
- 従業員数は、企業全体 / 事業場単位 / 連結 / 単体のどの人数を指すか明確にする必要があること
- 10人以上 / 50人以上 / 100人超などの人数基準によって、企業に必要な労務対応が変わること
【結論】従業員数とは、企業が雇用する労働者の人数を示す指標

従業員数とは、一般的に企業と雇用契約を結び、賃金を受けて業務に従事する労働者の人数を指します。正社員だけでなく、契約社員、アルバイト、パートなども、雇用契約を結んではたらいている場合は原則として従業員数に含めます。
ただし、「従業員」という言葉自体は、法律上で一律に定義されているわけではありません。そのため、実務では制度ごとに使われる「常時使用する労働者」「常用労働者」などの基準に沿って判断する必要があります。なお、事業場の規模を判断する際の「常時使用する労働者の数」は、日雇労働者やパートタイマーなどの臨時的労働者も含め、常態として使用している労働者の数をいいます。
従業員数は、目的によって数える範囲が異なります。求人票や会社概要では企業全体の人数を示すことが多い一方、就業規則や産業医の選任などでは事業場単位の人数が関係します。役員、派遣社員、出向中の労働者、業務委託などは扱いが変わるため、「誰を数えるか」と「どの制度の基準で数えるか」を分けて確認しましょう。
[出典]厚生労働省「事業場の規模を判断するときの「常時使用する労働者の数」はどのように数えるのでしょうか。」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_09985.html
従業員数を数えるときに確認すべき4つの単位
従業員数を正しく把握するには、何のために人数を数えるのかを先に整理することが重要です。同じ企業でも、採用広報で示す人数、労務手続きで使う人数、事業場ごとの管理人数は一致しない場合があります。
| 数え方の単位 | 意味 | 主な使用場面 |
|---|---|---|
| 企業全体 | 自社全体で雇用している人数 | 会社概要への記載、採用計画 / 社内の人員管理の場面など |
| 事業場単位 | 店舗 / 営業所 / 工場 / 事務所など拠点ごとの人数 | 就業規則の作成、産業医の選任、統括安全衛生管理者の選任など |
| 連結 | 親会社・子会社などグループ全体の人数 | 有価証券報告書への記載、会社概要への記載など |
| 単体・単独 | グループ会社を含めない自社のみの人数 | 自社の採用計画 / 労務管理 / 求人掲載の場面など |
なお「事業場」について、法律上で明確な定義が置かれているわけではありません。一般的には、場所だけでなく、そこで継続的に行われている事業活動の内容や組織のまとまりなどを踏まえて判断されます。
[出典・引用]厚生労働省「労働基準法における「事業」について」
https://www.mhlw.go.jp/content/11201250/001438295.pdf
[出典]厚生労働省「モデル就業規則について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/zigyonushi/model/index.html
従業員数に含める人・含めない人の考え方
従業員数を数えるときは、雇用形態ごとに対象範囲を整理しておく必要があります。基本的には、企業と雇用契約を結び、賃金を受けて業務に従事している人は、従業員数に含めて考えます。
なお、国税庁の質疑応答では、特定の制度における従業員の範囲として、「評価会社との雇用契約に基づき使用される個人で賃金が支払われる者」という考え方が示されています。ただし、従業員数の算出方法は制度によって異なる場合があるため、最終的には確認したい制度の基準に沿って判断しましょう。
[出典]国税庁「従業員の範囲」
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/hyoka/06/02.htm

| 区分 | 従業員数への扱い | ポイント |
|---|---|---|
| 正社員 | 原則として含める | 雇用契約を結び、継続的に勤務しているため |
| 契約社員 | 原則として含める | 有期雇用契約であっても、企業との雇用関係があるため |
| アルバイト・パート | 原則として含める | 短時間勤務でも、雇用契約を結んではたらいているため |
| 役員・取締役・社長・会長 | 原則として含めない | 会社との委任関係に基づく立場であることが多いため |
| 執行役員・専務・常務 | 実態により判断 | 雇用契約を結び、継続的に勤務している場合は従業員としてカウントする |
| 派遣社員 | 原則として派遣先では含めない | 雇用契約は派遣元企業と結んでいるため、原則として派遣元の従業員数としてカウントされる |
| 出向中の労働者 | 契約内容により判断 | 出向元との雇用関係が解消され、出向先で雇用されている場合は、出向先の従業員としてカウントする |
| 業務委託・個人事業主 | 原則として含めない | 雇用契約ではなく、委託契約に基づいて業務を行うため |
アルバイトやパートは、勤務時間が短くても雇用契約を結んでいるため、従業員数に含めるのが一般的です。一方で、役員や社長は原則として含めません。ただし、使用人兼務役員のように雇用契約や労働者性が認められる場合は、制度によって対象に含まれる可能性があります。
派遣社員は、派遣先企業の従業員数には原則として含めません。ただし、労働安全衛生法における事業場規模の算定では、派遣先と派遣元の双方で派遣中の労働者を含めて常時使用する労働者の数を算出するものとされています。
[出典]厚生労働省「労働基準法における「労働者」とは」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/keiyaku/index02.html
従業員数を数えるときに間違いやすいケース

| ケース | 注意点 |
|---|---|
| 短時間勤務のアルバイト・パート(スキマバイトなどを含む) | 雇用契約があれば従業員数に含めるのが基本。ただし、就業規則などの人数基準で「常時使用する労働者」に当たるか等は制度ごとの基準を確認する |
| 使用人兼務役員 | 役員という肩書きだけでなく、雇用契約や勤務実態を確認する |
| 派遣社員 | 派遣先の従業員数には原則含めないが、安全衛生上の事業場規模の算定では関係する場合がある |
| 在籍出向・転籍出向 | 出向元・出向先のどちらと雇用関係があるかを確認する |
| 業務委託 | 契約名称ではなく、実態として指揮命令関係がないか確認する |
業務委託契約者や個人事業主は、原則として従業員数に含めません。ただし、実態として勤務時間や業務手順を細かく指示され、企業の指揮命令下ではたらいている場合は、労働者性が問題になる可能性があります。
出向中の労働者は、出向元との雇用関係を維持しているか、出向先と新たに雇用契約を結んでいるかによって扱いが変わります。従業員数は「名称」ではなく「契約関係」と「勤務実態」をもとに確認しましょう。

従業員数によって企業に発生する主な労務対応
従業員数は、企業に求められる労務管理や法的手続きに直結します。1人以上、10人以上、50人以上、100人超など、人数の基準ごとに必要な対応が変わります。
| 人数・基準 | 主な対応 | 注意点 |
|---|---|---|
| 従業員1人以上 | 労働条件の明示、勤怠管理など | 雇用した時点で基本的な労務管理が必要 |
| 常時10人以上 | 就業規則の作成・所轄の労働基準監督署長への届出 | 事業場単位で判断する |
| 常時10人以上50人未満 | 安全衛生推進者または衛生推進者の選任 | 業種により選任すべき者が異なるため確認が必要 |
| 常時37.5人以上(民間企業の場合) | 障害者雇用義務の対象となる場合がある | 2026年7月現在の民間企業の法定雇用率2.7%を前提にした目安。算定方法や除外率は要確認 |
| 常時50人以上 | 産業医の選任、ストレスチェックなど | 事業場単位で判断する ※ストレスチェックについては、2028年4月1日から労働者数50人未満の事業場にも実施義務が広がる予定です。 |
| 厚生年金保険の被保険者数51人以上など | 短時間労働者の社会保険加入要件を確認 | 単なる従業員数ではなく、制度上の要件で判断する |
| 常用労働者100人超 | 法定雇用率を満たさない場合、障害者雇用納付金の対象となる | 納付金制度の対象や申告時期、算定方法を確認する |
従業員を1人でも雇用する場合、労働条件の明示、賃金の支払い、労働時間の管理、休憩・休日の付与など、基本的な労務管理が必要です。常時10人以上の従業員を使用する事業場では、就業規則を作成し、所轄の労働基準監督署長に届け出る必要があります。
また、常時10人以上50人未満の労働者を使用する事業場では、業種に応じて安全衛生推進者または衛生推進者の選任が必要になります。常時50人以上の労働者を使用する事業場では、産業医の選任など、労働安全衛生に関する対応が必要です。
短時間労働者の社会保険加入については、企業規模、週の所定労働時間、賃金、雇用期間、学生でないことなど複数の要件が関係します。厚生労働省は、今後の制度改正として、企業規模要件の縮小・撤廃や賃金要件の撤廃を段階的に進める内容を示しています。公開時点で適用される要件や施行時期は、厚生労働省や日本年金機構の最新情報を確認しましょう。

障害者雇用については、民間企業の場合、2026年7月現在の法定雇用率は2.7%です。法定雇用率から逆算すると、常用労働者37.5人以上の事業主は、障害者を1人以上雇用する義務の対象となります。ただし、実際の算定では短時間労働者のカウント方法や除外率などが関係するため、最新の制度情報を確認しましょう。
また、法定雇用率を満たしていない企業のうち、常用労働者100人超の企業は、障害者雇用納付金の対象となります。対象となる企業は、採用計画、職場環境整備、定着支援等を早めに検討しましょう。
[出典]厚生労働省「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/roudouzikan/070614-2.html
[出典]厚生労働省「安全衛生推進者(衛生推進者)について教えて下さい。」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_09980.html
[出典]厚生労働省「社会保険の加入対象の拡大について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000147284_00021.html
[出典]厚生労働省「モデル就業規則について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/zigyonushi/model/index.html
[出典]厚生労働省「事業主の方へ」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/jigyounushi/page10.html
従業員数を正しく管理するための実務ポイント

従業員数の管理は、採用計画、労務手続き、社会保険料、人件費等に影響します。人数の把握が曖昧なままだと、就業規則の届出漏れ、社会保険の加入漏れ、産業医の選任漏れなどにつながる可能性があります。
正社員、契約社員、アルバイト、パート、派遣社員、出向中の労働者、業務委託などを契約形態ごとに分け、企業全体と事業場単位の人数を両方管理しましょう。複数拠点を持つ企業では、各拠点の人数と会社全体の人数を分けて把握することが重要です。
従業員数と採用計画を連動させるポイント
従業員数は、採用計画や人材配置を考えるうえでも重要な指標です。従業員数が十分に見えても、短時間勤務のアルバイトやパートが多い場合、特定の曜日や時間帯だけ人材が不足することがあります。
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従業員数を確保しても、特定の曜日や時間帯だけ人材が不足するケースがあります。そのような場合は、スポットワーク・スキマバイトを活用し、必要な時間帯に必要な人材を募集する方法もおすすめです。
パーソルグループが運営する「シェアフル」では、短時間・短期間の求人掲載に活用できるため、従業員数だけでは見えにくい時間帯別の人材不足に対応しやすくなります。長期採用とスポットワーク・スキマバイトを組み合わせることで、採用コストと人材確保のバランスを見直しやすくなります。


従業員数に関するよくある質問

Q. 従業員数にアルバイトやパートは含まれますか?
原則として含まれます。アルバイトやパートは、勤務時間が短い場合でも、企業と雇用契約を結んではたらく労働者です。ただし、社会保険、安全衛生、就業規則などは制度ごとに要件が異なるため、総人数だけで判断せず、雇用契約の有無や勤務実態も確認しましょう。
Q. 従業員数に派遣社員は含まれますか?
派遣先企業の従業員数には、原則として含めません。派遣社員は派遣元企業と雇用契約を結んでいるためです。ただし、労働安全衛生法などでは、派遣先事業場の規模を判断する際に、派遣中の労働者を含めるケースがあります。
Q. 従業員数に役員や社長は含まれますか?
取締役や代表取締役、社長などは、原則として従業員数に含めません。会社との委任関係に基づいて経営を担う立場であり、一般的な労働者とは異なるためです。ただし、使用人兼務役員のように雇用契約や労働者性が認められる場合は、制度によって対象に含まれる可能性があります。
Q. 従業員数と会社規模は同じ意味ですか?
完全に同じ意味ではありません。会社規模は、従業員数だけでなく、資本金、売上、事業場数、業種など複数の要素で判断されることがあります。求人票や会社概要で従業員数を記載する際は、連結なのか単体なのか、事業場単位なのかを明確にしましょう。
Q. 従業員数が増えたら、まず何を確認すべきですか?
まず、就業規則、社会保険、安全衛生、障害者雇用に関する基準を確認しましょう。特に10人以上、50人以上、100人超などの節目では、企業に求められる対応が増える可能性があります。人数が基準に達してからではなく、近づいた段階で準備することが重要です。
まとめ┃従業員数は「誰を数えるか」と「どの単位で数えるか」を分けて管理しよう
従業員数は、正社員だけでなく、契約社員、アルバイト、パートなど雇用契約を結ぶ労働者を含めて考えるのが基本です。一方で、役員、派遣社員、業務委託、出向中の労働者などは、契約関係や制度ごとの基準によって扱いが変わります。
また、従業員数は企業全体、事業場単位、連結、単体のどの人数を指すかによって意味が変わります。就業規則、産業医、社会保険、障害者雇用などの労務対応を確認する際は、制度ごとの対象範囲と人数基準を確認することが重要です。
従業員数を正しく管理できると、法的義務への対応だけでなく、採用計画や人材配置の精度も高めやすくなります。特定の時間帯や業務で人材が不足する場合は、スポットワーク・スキマバイトの活用も含めて、必要な時間帯に必要な人材を確保できる体制を検討しましょう。






