介護の人手不足が「やばい」と言われるのはなぜ?施設・事業所が今すぐ見直すべき原因と対策

介護業界の人手不足は、いまや一部の施設や事業所だけの問題ではありません。日本全体で高齢化が進み、介護サービスの需要が増加する一方で、介護職員の採用や定着は難しくなっています。現場では、シフトの欠員、夜勤負担、残業、職員の離職、ケアの質の低下などが連鎖し、経営者や採用担当者にとって見過ごせない課題になっています。
この記事では、介護業界の人手不足が深刻化している理由を整理し、採用・定着・業務改善・多様な人材確保の視点から、事業所が実施すべき解決策を解説します。
- 介護業界の人手不足は、高齢化による需要増加と労働力人口の減少が重なって深刻化している
- 人手不足を放置すると、職員の負担増加、離職、介護事故、ケアの質の低下、経営悪化につながる
- 採用成功には、求人内容の改善、選考スピードの向上、待遇改善、柔軟な勤務条件の提示が必要
【結論】介護の人手不足が「やばい」と言われる理由は、需要増加と採用・定着難が同時に起きているため

介護の人手不足が深刻な理由は、高齢者人口の増加によって介護サービスの需要が伸びる一方で、介護職員を十分に確保しにくい状況が続いているためです。厚生労働省が2024年7月に発表したデータによると、2022年度に約215万人だった介護職員の必要数は、2026年度には約240万人、2040年度には約272万人にまで増えると見込まれています。つまり、2022年度から2040年度までの間に、約57万人もの介護職員を新たに確保しなければならない状況です。
このように、介護業界の人手不足は「一時的に応募が少ない」というレベルではなく、日本の人口構造や介護サービス需要の増加と連動した長期的な問題です。そのため、施設や事業所にとって重要なのは、「求人を出せば自然に応募が集まる」という前提を見直すことです。採用市場では医療、福祉、飲食、小売、物流など多くの業種が人材を取り合っており、介護職の仕事内容、職場環境、給与水準、キャリアパス、教育体制を具体的に発信できない事業所は、応募者に選ばれにくくなっています。
一方で、人手不足の解消は採用だけでは実現しません。採用しても職員が定着しなければ、現場の負担は軽減されず、採用コストだけが増えてしまいます。そのため、介護事業者は「採用する」「辞めにくい職場をつくる」「業務を効率化する」「必要な時間帯に人材を確保する」という複数の対策を同時に進める必要があります。
[出典]厚生労働省「介護人材確保に向けた取組」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_02977.html
また、介護の人手不足が「やばい」と言われる背景には、次のようなものがあります。
利用者へのケアの質が低下し、事故・クレームリスクが高まるリスクがある
介護施設や訪問介護の現場では、食事介助、入浴介助、排泄介助、移乗、見守り、記録、申し送りなど、多くの業務が日々発生します。職員数が不足すると、1人あたりの業務量が増え、利用者一人ひとりに向き合う時間が短くなりやすくなります。
その結果、記録の入力が遅れる、申し送りが不十分になる、見守りの頻度が下がるといった小さな負担の積み重ねが起こり、事故やクレームにつながる可能性があります。特に夜勤帯や少人数体制の時間帯では、1人の職員にかかる責任が大きく、判断の遅れや確認漏れがトラブルの要因になりかねません。
もちろん、事故やクレームの原因を職員個人の責任だけにするべきではありません。重要なのは、事業所としてリスクが発生しやすい時間帯や業務を把握し、シフト作成 / 業務分担 / 記録システム / 見守り機器 / 相談体制を整備することです。介護サービスの品質は職員の努力だけで維持できるものではなく、適切な人員体制と業務設計があってこそ安定します。
既存職員の負担が増え、離職が加速しやすい
欠員が続く職場では、既存職員が夜勤や残業、急なシフト変更に対応せざるを得なくなります。最初は助け合いで乗り切れても、慢性的に負担が続くと、身体的負担や精神的ストレスが大きくなり、モチベーションの低下や不満につながります。
特に介護職は、利用者の生活を支える責任が大きい仕事です。現場の職員が「十分なケアをしたいのに時間が足りない」「休みたいのに休めない」と感じる状況が続けば、やりがいよりも疲弊が上回り、離職の要因になります。離職が増えるとさらに人材が不足し、残った職員の負担が増えるという負のループが生まれます。
新規入居・利用の受け入れを制限せざるを得ない場合がある
職員数や勤務体制を確保できない場合、施設は新規入居者やデイサービスの利用者を受け入れにくくなる可能性があります。これは地域の介護サービス提供体制に影響するだけでなく、事業所の売上機会の損失にもつながります。
経営者にとって、人手不足は現場だけの悩みではありません。稼働率の低下、採用費用の増加、派遣費用の上昇、管理者の負担増加など、経営全体に影響します。介護事業は地域に必要とされる社会的意義の高い分野ですが、安定した人材確保ができなければ、サービス継続そのものが難しくなるケースもあります。
事業所の経営悪化や倒産リスクにもつながる
採用難が続くと、求人広告費、人材紹介費、人材派遣費、採用担当者の工数が増加します。さらに、採用した人材が短期間で離職すれば、教育や研修にかけた時間と費用も回収しにくくなります。結果として、売上を伸ばしたくても人員体制が整わず、経営が悪化するリスクがあります。
介護事業所にとって、人材確保はコストではなく、サービス品質と事業継続を支える投資です。求人掲載、採用広報、処遇改善、職場環境の整備、業務効率化を一体で進めることが、安定経営につながります。
介護業界で人手不足が起きる原因
高齢化により介護サービスの需要が増加している
日本では高齢化が進み、介護施設、訪問介護、デイサービス、特別養護老人ホーム、有料老人ホームなど、さまざまな介護サービスの需要が増えています。高齢者人口の増加により要介護者が増えれば、介護職員の必要数も増加します。
少子化・労働力人口の減少で採用対象が限られている
少子化により、介護業界だけでなく日本全体で労働力人口の減少が進んでいます。採用市場では、医療、福祉、飲食、小売、物流、サービス業など、多くの業種が人材確保に取り組んでいます。介護業界は社会的に必要な仕事である一方、他業種と比較される前提で求人を設計しなければなりません。
介護職へのネガティブなイメージが応募を妨げている
介護職には、体力的にきつい、給与が低い、夜勤が多い、人間関係が大変、3K(きつい・汚い・危険)の印象があるといったネガティブなイメージが残っています。実際には、職場環境の改善、ICT導入、処遇改善加算、資格取得支援、研修制度などに取り組む事業所も増えていますが、その魅力が十分に発信されていないケースもあります。
給与・待遇への不満が定着を妨げやすい
介護職は、利用者の生活を支える専門性と責任のある仕事です。一方で、仕事内容や身体的負担に対して給与水準が見合わないと感じられると、職員の不満や離職につながります。給与、手当、昇給、評価制度、福利厚生、雇用形態の整備は、採用だけでなく定着にも直結します。
夜勤や介助業務による身体的・精神的負担が大きい
介護現場では、入浴、食事、排泄、移乗、見守り、記録など、身体的負担のある業務が多く発生します。特に夜勤や1人に近い体制の時間帯では、利用者の急変対応や転倒リスクへの対応もあり、精神的な緊張が続きます。
人間関係やコミュニケーションの悩みが離職要因になる
介護現場では、上司、同僚、他職種、利用者、家族など、多くの関係者とのコミュニケーションが求められます。業務が忙しい職場では、申し送りや相談の時間が不足し、誤解や不満が生まれやすくなります。
評価制度やキャリアパスが不明確な職場では定着しにくい
介護福祉士の資格取得、リーダー職、専門職、管理職など、将来の選択肢が見えない職場では、職員が長期的にはたらく理由を持ちにくくなります。どれだけ努力しても評価や昇給につながらないと感じれば、モチベーションは低下します。
求人で職場の魅力を伝えきれていない
採用難の原因は、外部環境だけではありません。求人原稿で職場の魅力を伝えきれていないために、応募機会を逃しているケースもあります。例えば、勤務時間や給与だけを記載し、教育体制、職場環境、仕事内容、スタッフ構成、資格取得支援、シフトの柔軟性を十分に説明できていない求人は、応募者に選ばれにくくなります。
介護の人手不足を改善するための基本方針

採用・定着・業務効率化を分けて考える
短期対策と長期対策を組み合わせる
採用面からできる介護人材確保の対策
採用面の対策では、求人を掲載するだけでなく、応募者に選ばれる情報設計とスピード感が重要です。介護業界では採用競争が激しいため、求人内容が曖昧だったり、選考が遅かったりすると、応募者が他施設や他業種へ流れてしまう可能性があります。
求人原稿で仕事内容と職場の魅力を具体的に伝える
介護職の求人では、仕事内容を具体的に書くことが重要です。食事介助、入浴介助、排泄介助、移乗、見守り、記録、送迎、レクリエーション、夜勤の有無など、担当する業務を明確にしましょう。業務範囲が曖昧な求人は、応募前の不安を高めます。
また、職場の魅力も具体的に伝える必要があります。教育体制、資格取得支援、シフト希望の出しやすさ、残業削減の取り組み、相談窓口、ICT導入状況、介護ロボットの活用、スタッフ同士のコミュニケーションなど、応募者が入職後をイメージできる情報を盛り込みましょう。



給与・待遇・福利厚生をわかりやすく提示する
給与水準、夜勤手当、資格手当、交通費、昇給、賞与、福利厚生、処遇改善加算の反映などは、応募者が比較しやすい項目です。求人では、できるだけ具体的に記載し、条件面の不安を減らすことが大切です。
「給与は応相談」「詳細は面接で説明」といった表現が多い求人は、応募前に離脱されやすくなります。すべてを細かく記載できない場合でも、モデル給与、昇給例、手当の種類、評価制度の概要を示すことで、応募者の納得感を高められます。
採用ターゲットを広げる
介護福祉士や経験者だけを採用ターゲットにすると、応募母数が限られます。未経験者、資格取得を目指す人材、ブランクのある経験者、短時間勤務を希望する人材、外国人材など、採用対象を広げることも検討しましょう。
ただし、採用ターゲットを広げるには、受け入れ体制の整備が不可欠です。未経験者であれば研修やOJT、外国人材であれば在留資格や日本語支援、生活支援、現場教育が必要です。求人上で「誰でも歓迎」とするのではなく、どのような人材にどの業務を任せるのかを整理しましょう。
選考プロセスを迅速化する
応募から面接、採用決定までに時間がかかると、応募者は他の求人へ移ってしまいます。採用担当者は、応募後の連絡スピード、面接日程の調整、合否連絡、入職までのフォローを見直す必要があります。
特に介護職の採用では、応募当日または翌営業日までの連絡が重要です。面接候補日を複数提示し、採用基準を事前に整理しておくことで、選考をスムーズに進められます。選考プロセスの迅速化は、追加費用をかけずに改善できる採用施策の一つです。
採用チャネルを複数持つ
求人サイト、人材紹介、人材派遣、SNS、自治体、福祉人材センター、学校、地域コミュニティ、スキマバイトなど、採用チャネルは複数持つことが大切です。1つの媒体に依存していると、応募数が落ちたときに対応が遅れます。
職種や雇用形態によって、効果的な採用ルートは異なります。正社員、パート、短時間勤務、夜勤専従、スポットワークなど、それぞれの求人に合う媒体や手法を使い分けることで、必要な時間帯・業務に合った人材を確保しやすくなります。
スポットワークの導入を検討する
介護施設では、すべての業務を常勤職員だけで担う必要はありません。入浴介助、食事介助、見守り、清掃、配膳、記録補助など、時間帯や業務を切り出せる場合は、スポットワークの活用を検討できます。
スポットワークを導入するメリットは、必要な時間帯に必要な人材を確保しやすい点です。例えば、午前中の入浴介助だけ、昼食前後の食事介助だけ、夕方の見守り補助だけなど、施設のシフト上で不足している時間に合わせて募集できます。これにより、既存職員の残業や急なシフト変更を減らし、職場全体の負担軽減につながります。
一方で、スポットワークを活用する場合は、任せる業務の範囲、当日の受け入れ手順、利用者情報の共有範囲、事故防止のルールを明確にする必要があります。業務を標準化し、短時間でも安全に対応できる体制を整えることが重要です。
介護業界の人材不足解消なら、「シェアフル」がおすすめ!
短時間・スポットワークの募集を検討する場合、スポットワークサービスの活用も選択肢になります。シェアフルでは、企業が必要な日・時間帯に合わせて求人を掲載できるため、介護施設や福祉事業所で発生しやすい一時的な欠員や繁忙時間帯の人材確保に活用しやすい点が特徴です。
特に、正社員やパートの採用だけでは埋めにくい時間帯がある施設では、業務を切り出して募集することで、既存職員の負担を軽減しやすくなります。シフト上で不足している時間帯を把握し、入浴介助補助、食事準備、配膳、清掃、見守り補助などの業務を整理したうえで求人掲載することで、現場の安定運営につながります。
また、シェアフルシフトを活用すれば、シフト作成だけでなく欠員対応や人材確保の流れも見直しやすくなります。シフト上で不足している時間帯を可視化し、必要に応じて求人掲載や人材募集につなげることで、管理者の調整負担を減らしながら、現場の人手不足対策を進められます。


介護・福祉業界のシェアフル導入事例
介護・福祉業界でスポットワークを活用する際は、すでに導入している施設や法人の事例を参考にすることが有効です。どの業務を切り出したのか、どの時間帯で募集したのか、現場職員の負担がどのように変わったのかを確認することで、自施設での導入イメージが具体的になります。
導入時は、いきなり多くの業務を任せるのではなく、清掃、配膳、見守り補助、簡単な業務補助などから始める方法もあります。受け入れマニュアルや当日の説明フローを整えることで、スポットの就業者も迷わず業務に入りやすくなり、既存職員のサポート負担も抑えられます。
株式会社ラシエル 様(ビオネストグループ)
医療・介護・障がい福祉事業を展開するビオネストグループの一員として、全国に44事業所の障がい者グループホームを展開されています。同社では、障がい者福祉施設が地域から孤立しがちであるという課題に対し、地域住民との交流強化を目的としてシェアフルを導入しました。
有資格者には介助業務、未経験者には見守りや話し相手といった業務を依頼することで、地域住民が施設と接点を持つ機会を創出しています。その結果、これまでに250名の雇用を創出し、「地域のボランティア情報が入ってくるようになった」「施設へのネガティブなイメージが払拭された」といった成果を上げています。
また、就業意欲の高いリピートワーカーが増加しており、正社員やパートへの長期雇用転換も各事業所あたり3名ずつ実現しています。1度就業して適性を確認できるスポットワークの特性を活かし、人柄を重視したミスマッチの少ない採用に成功している事例です。
冠婚葬祭業および福祉事業を展開する同社では、業界イメージから求職者との接点確保が難しいという課題がありました。採用人数を増やすために「シェアフル」を導入し、求職者との接点を大幅に増加させることに成功しました。
シェアフル経由でテレフォンアポインターなどの業務を募集した結果、既存の求人媒体よりも高いマッチング率を実現し、売上向上にも寄与しています。また、単発就業を通じて適性を確認したうえで長期転換を図る採用手法を確立しており、これまでに6名の長期採用を実現しています。現場での丁寧な声掛けや、職場環境を素直に伝える透明性の高いコミュニケーションを徹底することで、入社後のギャップを抑制し、高い定着率につなげている事例です。
このように、シェアフルは単なる「急な人手不足を補うサービス」としてだけでなく、地域の活性化や長期採用のきっかけ作りなど、経営課題の解決手段としても活用されています。
事例でご紹介した通り、実際の就業を通じて求職者に自社の雰囲気や業務内容を体験してもらうことは、採用後のミスマッチを防ぎ、長期雇用への転換をスムーズにする非常に有効なアプローチです。欠員補充といった短期的な対応にとどまらず、地域との関係構築や自社のファン作り、そして定着率の高い採用を実現するための「戦略的な採用ツール」として、活用の幅を検討してみてはいかがでしょうか。
未経験者を育成できる研修体制を整える
未経験者の採用を広げるには、研修体制の整備が必要です。初期研修、OJT、マニュアル、フォロー面談、資格取得支援を用意し、段階的に仕事を覚えられる仕組みをつくりましょう。
求人では「未経験歓迎」と書くだけでは不十分です。入職後に誰が教えるのか、どの業務から始めるのか、資格取得をどのように支援するのかを明確に伝えることで、応募者の不安を減らせます。教育体制が整っている施設は、採用対象を広げやすく、長期的な人材育成にもつながります。
介護人手不足に関するよくある質問

Q. 介護の人手不足は今後さらに深刻になりますか?
深刻化する可能性が高いと考えられます。厚生労働省の推計では、介護職員は2040年度に約272万人が必要とされており、2022年度と比べて約57万人の増加が必要です。 高齢化により介護サービスの需要が増える一方で、少子化により労働力人口は減少しているため、採用競争は今後も続くと考えられます。
事業所は、欠員が出てから採用するのではなく、年間を通じて求人内容、採用チャネル、定着施策、業務効率化を見直す必要があります。特に、シフト上で不足しやすい時間帯や業務を把握し、常勤採用と短時間・スポットワークを組み合わせる視点が重要です。
[出典]厚生労働省「介護人材確保に向けた取組」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_02977.html
Q. 介護業界で人材が集まらない一番の原因は何ですか?
一つに限定するのは難しく、需要増加、労働力人口の減少、採用競争、給与・待遇への不満、労働環境への不安、介護職へのネガティブなイメージなどが複合的に影響しています。加えて、求人で職場の魅力を伝えきれていない、選考プロセスが遅い、採用ターゲットが狭いといった事業所側の課題もあります。
まずは、自施設の応募数、面接率、採用率、離職率、定着率を確認しましょう。応募が少ないのか、面接につながらないのか、採用後に辞めているのかによって、打つべき対策は変わります。採用課題と定着課題を分けて分析することが重要です。
Q. 介護職員の離職を防ぐには何から始めるべきですか?
まずは、離職理由と現場負担の可視化から始めるべきです。給与や待遇だけでなく、人間関係、夜勤負担、残業、教育不足、評価制度への不満、キャリアパスの見えにくさが離職につながることがあります。
定期面談やアンケートを実施し、職員の悩みを早期に把握しましょう。そのうえで、処遇改善、相談窓口、シフト改善、研修制度、資格取得支援、評価制度を整備します。離職防止は一度の施策で完了するものではなく、継続的な職場環境づくりが必要です。
Q. ICTや介護ロボットを導入すれば人手不足は解決しますか?
ICTや介護ロボットだけで人手不足が完全に解決するわけではありません。ただし、記録、申し送り、見守り、移乗支援、入浴支援、シフト管理などを効率化できれば、職員の負担軽減にはつながります。
重要なのは、導入目的を明確にすることです。何の業務を削減したいのか、どの時間帯の負担を減らしたいのか、誰が使うのかを整理し、研修と運用ルールを整える必要があります。現場が使いこなせる状態をつくって初めて、業務効率化や職場環境の改善につながります。
Q. 外国人材の受け入れは介護事業所にとって有効ですか?
有効な選択肢の一つです。ただし、外国人材の受け入れは、採用すれば終わりではありません。特定技能、技能実習、EPAなどの制度理解に加え、日本語支援、生活支援、職場内コミュニケーション、教育体制が必要です。
受け入れ体制が整っている事業所では、外国人材が長期的に活躍しやすくなります。一方で、現場任せにすると、本人も既存職員も不安を抱えやすくなります。制度、生活、業務、相談の4つの支援を整えることが、定着のポイントです。
Q. 介護施設の欠員対応にはどのような方法がありますか?
欠員対応には、既存職員のシフト調整、短時間求人、スポットワーク、人材派遣、求人サイト、人材紹介、地域連携など複数の方法があります。重要なのは、どの時間帯・業務で不足が発生しているかを明確にし、常勤採用と短期的な人材確保策を使い分けることです。
例えば、長期的に必要な職員は正社員やパートで採用し、特定時間帯の業務補助は短時間・短日就業のスポットワークを活用する方法があります。欠員が出るたびに管理者が個別対応するのではなく、求人掲載、受け入れ、業務説明までの流れを仕組み化しておくことが大切です。
まとめ┃介護の人手不足は採用・定着・業務改善を同時に進めることが重要
介護の人手不足が「やばい」と言われる理由は、高齢化による介護サービス需要の増加、少子化による労働力人口の減少、採用競争、離職、職場環境の負担が重なっているためです。厚生労働省の推計でも、2040年度には約272万人の介護職員が必要とされており、介護事業者にとって人材確保は長期的な経営課題になっています。
施設や事業所がまず取り組むべきことは、応募が集まらない原因と、職員が定着しない原因を分けて把握することです。求人原稿で仕事内容や職場の魅力を具体的に伝え、給与・待遇・福利厚生をわかりやすく提示し、選考プロセスを迅速化することで、採用面の改善が期待できます。
同時に、処遇改善、労働環境の見直し、相談窓口の設置、評価制度、キャリアパス、資格取得支援、研修制度を整えることで、職員が安心してはたらき続けられる職場づくりを進める必要があります。採用しても定着しなければ、現場の負担は軽減されません。
さらに、ICT、介護ソフト、介護ロボット、見守りセンサー、シフト管理ツールを活用すれば、記録や見守り、シフト作成などの業務効率化につながります。シフト上で不足している時間帯を可視化し、短時間・単発ではたらいてもらうスポットワークの求人を活用することも、現場負担を抑える有効な方法です。
介護の人手不足は、すぐに完全解決できる問題ではありません。しかし、採用・定着・業務効率化・多様な人材活用を組み合わせれば、現場の負担を軽減し、安定した介護サービスを提供しやすくなります。人材確保を一時的な採用活動ではなく、事業所全体の仕組みづくりとして見直すことが、これからの介護事業に求められます。






