短時間労働者とは?定義・社会保険の加入要件・企業が必要な対応を解説

パート / アルバイトなど、通常の労働者より短い時間ではたらく労働者を採用する企業にとって、「誰が短時間労働者に該当するのか」「社会保険への加入は必要か」と迷う場面は少なくありません。短時間労働者は、法律や保険制度ごとに判断基準が異なるため、勤務時間だけで一律に判断できません。
この記事では、短時間労働者の定義 / 社会保険・雇用保険の加入要件 / 企業が確認すべきポイント / 今後の法改正を解説します。
- 短時間労働者とは、1週間の所定労働時間が同一の事業主に雇用される通常の労働者より短い労働者を指すこと
- パート / アルバイトなどの呼称ではなく、通常の労働者との所定労働時間の違いで判断すること
- 社会保険は、所定労働時間と所定労働日数の4分の3基準や、週20時間以上などの加入要件を確認すること
- 2026年10月の賃金要件が撤廃され、2027年以降の企業規模要件の段階的な縮小が予定されていること
- 企業には、労働条件の明示 / 待遇差の説明 / 社会保険の加入要件の確認などの対応が必要なこと
【結論】短時間労働者とは、通常の労働者より週の所定労働時間が短い労働者のこと

短時間労働者とは、1週間の所定労働時間が、同一の事業主に雇用される通常の労働者より短い労働者のことを指します。「1日○時間未満」といった一律の基準ではなく、自社の通常の労働者と比較して判断します。
たとえば、通常の労働者が1日8時間 / 週5日勤務で、別の労働者が1日8時間 / 週3日勤務なら、1日の勤務時間は同じでも週の所定労働時間は短くなり、後者は短時間労働者と分類されます。
| 短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律 第2条 この法律において「短時間労働者」とは、一週間の所定労働時間が同一の事業主に雇用される通常の労働者(当該事業主に雇用される通常の労働者と同種の業務に従事する当該事業主に雇用される労働者にあっては、厚生労働省令で定める場合を除き、当該労働者と同種の業務に従事する当該通常の労働者)の一週間の所定労働時間に比し短い労働者をいう。 |
[参照]厚生労働省「さまざまな雇用形態」
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudouseisaku/chushoukigyou/koyoukeitai.html
[参照]デジタル庁「e-Gov 法令検索」
https://laws.e-gov.go.jp/law/405AC0000000076
短時間労働者は雇用形態の名称ではなく所定労働時間で判断する
「パート」「アルバイト」「契約社員」「嘱託社員」といった名称だけでは、短時間労働者かどうかは決まりません。企業独自の呼称ではなく、通常の労働者と比べて1週間の所定労働時間が短いかを確認します。
たとえば、アルバイトスタッフであっても、通常の労働者と同じ週40時間勤務なら、短時間労働者に該当しない場合があります。反対に、無期雇用でも通常の労働者より週の所定労働時間が短ければ該当し得ます。
パート / アルバイト / 有期雇用労働者 / 短時間正社員との違い
| 区分 | 主な判断基準 | 雇用期間 |
|---|---|---|
| 短時間労働者 | 同一の事業主に雇用されている通常の労働者より週の所定労働時間が短いかどうか | 有期 / 無期 |
| 有期雇用労働者(契約社員) | 雇用期間に定めがある労働契約を締結しているかどうか | 有期 |
| 短時間正社員 | フルタイム正社員より週の所定労働時間が短い正社員 | 無期 |
| パート / アルバイト | ※法的な用語ではなく、一般的な呼称 ※企業によって基準は異なります | 有期 / 無期 |
| 嘱託社員 | 定年退職後の再雇用者や、短時間勤務で特定の専門業務を担う労働者など ※法的な用語ではなく、一般的な呼称 ※企業によって基準は異なります | 有期 / 無期 |
有期雇用労働者は「契約期間」、短時間労働者は「所定労働時間」が主な判断軸です。短時間正社員は、フルタイム正社員より週の所定労働時間が短い正規型の社員であり、短時間勤務だからパート扱いになるわけではありません。


短時間労働者に関係する法律・企業の義務
パートタイム・有期雇用労働法の目的と適用範囲
パートタイム・有期雇用労働法(正式名称:短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律)は、通常の労働者との不合理な待遇差をなくすことなどを目的としています。
企業は、基本給 / 賞与 / 手当 / 福利厚生 / 教育訓練などについて、職務内容や責任の程度などを踏まえて待遇を決定する必要があり、飲食 / 小売 / 物流など、短時間勤務の労働者を雇用するすべての業種が対象です。
| 短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律 第1条 この法律は、我が国における少子高齢化の進展、就業構造の変化等の社会経済情勢の変化に伴い、短時間・有期雇用労働者の果たす役割の重要性が増大していることに鑑み、短時間・有期雇用労働者について、その適正な労働条件の確保、雇用管理の改善、通常の労働者への転換の推進、職業能力の開発及び向上等に関する措置等を講ずることにより、通常の労働者との均衡のとれた待遇の確保等を図ることを通じて短時間・有期雇用労働者がその有する能力を有効に発揮することができるようにし、もってその福祉の増進を図り、あわせて経済及び社会の発展に寄与することを目的とする。 |
[参照]デジタル庁「e-Gov 法令検索」
https://laws.e-gov.go.jp/law/405AC0000000076
採用時には労働条件を文書の交付などで明示する
労働基準法に基づき、短時間労働者を採用する際は、通常の労働者と同様に、契約期間 / 就業場所・業務内容とその変更の範囲 / 始業・終業時刻 / 休日 / 賃金など、法令で定められた労働条件を明示する必要があります。さらに、パートタイム・有期雇用労働者には、昇給 / 退職手当 / 賞与の有無や相談窓口についても文書の交付などによる明示が必要です。
2024年4月からは労働条件明示のルールが改正され、就業場所・業務の変更の範囲や、有期労働契約の更新上限などが明示事項に追加されました。企業は、労働条件通知書などの様式を確認しておきましょう。
[参照]厚生労働省「令和6年4月から労働条件明示のルールが改正されます」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_32105.html
不合理な待遇差をなくし待遇の決定理由を説明できるようにする
短時間勤務であることだけを理由に、正社員との不合理な待遇差を設けることはできません。基本給 / 賞与 / 手当 / 福利厚生などについて、職務内容 / 責任の程度 / 配置変更の範囲などを踏まえて確認しましょう。
2026年10月1日からは、通常の労働者との待遇差の内容 / 理由などについて、短時間・有期雇用労働者から雇用主へ説明を求めることができる旨が、採用時の明示事項に追加されました。短時間・有期雇用労働者から求められた場合は、待遇差の内容や理由を説明する必要があります。賃金表 / 評価基準 / 業務分担などを整理し、説明できる状態にしておくことが重要です。
[参照]厚生労働省「2026年10月からパートタイム・有期雇用のルールが変わります―3つの改正ポイント」
https://www.mhlw.go.jp/web_magazine/column/20260803.html
短時間労働者が社会保険へ加入する条件
所定労働時間と所定労働日数が4分の3以上なら原則として加入対象になる
1週間の所定労働時間および1カ月の所定労働日数が、同一の事業所に使用される通常の労働者の4分の3以上であれば、パート / アルバイトなどの名称にかかわらず、原則として健康保険・厚生年金保険の被保険者になります。
たとえば通常の労働者が週40時間 / 月20日勤務なら、週30時間以上かつ月15日以上が一つの目安です。
[参照]厚生労働省「人を雇うときのルール」
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudouseisaku/chushoukigyou/koyou_rule.html
[参照]日本年金機構「私は、パートタイマーとして勤務しています。社会保険に加入する義務はありますか。」
https://www.nenkin.go.jp/section/faq/kounen/hihokensha/20140902-07.html
4分の3未満でも一定の要件を満たすと社会保険の対象になる
1週間の所定労働時間または1カ月の所定労働日数が、同一の事業所に使用される通常の労働者の4分の3未満であっても、一定の要件を満たす短時間労働者は社会保険の加入対象になります。
- 週の所定労働時間が20時間以上(時間外労働は除く)である
- 勤め先の従業員数(厚生年金保険の被保険者数)が51人以上である
- 学生ではない(※ただし、夜間学部や通信制の学生、卒業後にそのまま就職することが内定している学生などは加入対象となる場合があります)
- 継続して2カ月を超える雇用が見込まれる
※厚生年金保険の被保険者数が51人未満でも、任意特定適用事業所などでは加入対象となる場合があります。
なお、週20時間以上はたらく場合、月額賃金が8.8万円に達する時給の目安は1,016円以上です。2025年度の最低賃金改定により、全国で最も低い高知県 / 宮崎県 / 沖縄県でも時給1,023円となり、この水準を上回りました。こうした最低賃金の上昇を受け、2026年10月1日に「所定内賃金が月額8.8万円以上」という賃金要件が撤廃されました。
[参照]厚生労働省「短時間労働者の社会保険(健康保険・厚生年金保険)の加入拡大のポイント」
https://www.mhlw.go.jp/content/12500000/001633788.pdf

特定適用事業所の従業員数は法人単位で数える
特定適用事業所とは、1年のうち6カ月間以上、厚生年金保険の被保険者(短時間労働者を除き、共済組合員を含む)の総数が51人以上となることが見込まれる適用事業所です。2026年10月時点の企業規模要件では、この51人以上が基準となっています。
法人事業所では、同一法人番号に属するすべての適用事業所の被保険者数を合算し、個人事業所では事業所単位で判断します。そのため、複数店舗を運営する法人では、店舗ごとではなく法人全体の被保険者数を確認することに注意が必要です。
[参照]日本年金機構「短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大」
https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/tekiyo/jigyosho/tanjikan.html
残業や勤務時間の変動がある場合の判断方法
週の所定労働時間が20時間未満である場合、一時的な残業により週の労働時間が20時間を超えただけでは、直ちに社会保険の加入対象にはなりません。
ただし、契約上は週20時間未満でも、実際の労働時間が連続する2カ月で週20時間以上となり、その状態が今後も続くと見込まれる場合は、3カ月目の初日から加入対象となります。週によって20時間を超えたり下回ったりする場合は、単週ではなく所定労働時間や継続的な勤務実績を確認しましょう。
[参照]厚生労働省「社会保険適用拡大特設サイト 適用拡大 Q&A」
https://www.mhlw.go.jp/tekiyoukakudai/qa/
短時間労働者をめぐる社会保険・雇用保険の法改正

| 時期 | 主な変更 |
|---|---|
| 2026年10月 | 社会保険の賃金要件(月額8.8万円以上)を撤廃(施行済み) |
| 2027年10月 | 社会保険の加入要件のうち、企業規模要件を「従業員数51人以上」から「従業員数36人以上」へ変更 |
| 2028年10月 | 雇用保険の被保険者要件のうち、週所定労働時間要件を「20時間以上」から「10時間以上」へ変更 |
| 2029年10月 | 社会保険の加入要件のうち、社会保険の企業規模要件を「従業員数36人以上」から「従業員数21人以上」へ変更 |
| 2032年10月 | 社会保険の加入要件のうち、社会保険の企業規模要件を「従業員数21人以上」から「従業員数11人以上」へ変更 |
| 2035年10月 | 社会保険の企業規模要件(従業員数11人以上)を撤廃 |
社会保険の企業規模要件は2027年10月以降段階的に縮小・撤廃される
社会保険の企業規模要件は、2027年10月以降、段階的に縮小・撤廃されます。2027年10月に従業員数51人以上から36人以上、2029年10月に21人以上、2032年10月に11人以上へ変更され、2035年10月には企業規模要件そのものが撤廃される予定です。
これにより、現在は企業規模要件の対象外となっている企業も、順次社会保険の適用拡大の対象になります。企業は自社が対象となる時期を確認し、加入対象者 / 社会保険料 / 労務管理への影響を事前に把握しておくことが重要です。
[参照]厚生労働省「短時間労働者の社会保険(健康保険・厚生年金保険)の加入拡大のポイント」
https://www.mhlw.go.jp/content/12500000/001633788.pdf
雇用保険は2028年10月から週所定労働時間10時間以上が対象になる
2028年10月1日から、雇用保険の被保険者となる週所定労働時間の要件が20時間以上から10時間以上へ変更されます。これにより、週10時間以上20時間未満の従業員も新たに雇用保険の対象となります。
短時間勤務の従業員を多く雇用する企業では、加入対象者が増える可能性があります。施行前に雇用契約や勤務時間を確認し、資格取得手続き / 雇用保険料 / 給与計算への影響を整理しておきましょう。
[参照]厚生労働省「令和6年雇用保険制度の改正内容について(雇用保険法等の一部を改正する法律)」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_40264.html
短時間労働者に関するよくある質問

短時間労働とは、何時間程度の労働を指す?
「1日○時間未満」「週○時間未満」といった一律の基準はありません。パートタイム・有期雇用労働法では、1週間の所定労働時間が同一の事業主に雇用されている通常の労働者より短いかどうかで判断します。1日の勤務時間が通常の労働者と同じでも、勤務日数が少なく週の所定労働時間が短ければ、短時間労働者に該当する場合があります。
週20時間未満の就業者に社会保険加入義務はある?
週の所定労働時間が20時間未満であれば、原則として短時間労働者向けの適用拡大による社会保険の加入対象にはなりません。ただし、通常の労働者と比べて、1週間の所定労働時間および1カ月の所定労働日数の両方が4分の3以上であれば、週20時間未満でも加入対象となる場合があります。また、実労働時間が継続的に増えている場合は勤務実績も確認が必要です。
短時間労働者にも有給休暇の付与義務はある?
短時間労働者であっても、以下の要件を満たせば年次有給休暇を付与する必要があります。
- 雇入れの日から6カ月継続勤務
- 全労働日の8割以上出勤
週所定労働時間が30時間未満で、週所定労働日数が4日以下などの場合は、勤務日数に応じて比例付与されます。パート / アルバイトといった名称や社会保険への加入状況だけを理由に、年次有給休暇の対象外とすることはできません。
[参照]厚生労働省「年次有給休暇の付与日数は法律で決まっています」
https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/dl/140811-3.pdf
まとめ┃短時間労働者の定義と保険要件を正しく確認して適切に雇用管理しよう
短時間労働者とは、パート / アルバイトなどの名称ではなく、1週間の所定労働時間が同一の事業主に雇用されている通常の労働者より短い労働者を指します。一方、社会保険への加入可否は別の基準で判断する必要があり、4分の3基準 / 週20時間以上 / 学生区分 / 企業規模など複数の要件を確認しなければなりません。
また、社会保険の企業規模要件は2027年10月以降段階的に縮小され、2035年10月には撤廃される予定です。雇用保険も2028年10月から週所定労働時間の要件が10時間以上へ変更されます。
企業は、現在の加入要件だけでなく今後の制度改正も踏まえ、雇用契約 / 勤怠状況 / 労働条件 / 保険加入状況を定期的に確認することが重要です。短時間労働者を適切に雇用できる体制を整え、法令遵守と安定した人材確保につなげましょう。
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