【2026年版】最低賃金はいくらに?金額が引きあがる時期や影響を解説!

「2026年度の最低賃金はいくらになるの?」「自分の時給はいつから変わる?」と気になっている人も多いでしょう。
2026年8月7日時点では、2026年度の最低賃金について中央最低賃金審議会が引き上げ額の目安を示し、各都道府県の地方最低賃金審議会で具体的な金額を決める審議が進んでいます。中央最低賃金審議会が示した目安はAランク54円、Bランク56円、Cランク56円で、目安どおりに改定された場合の全国加重平均は1,176円です。ただし、地方審議会では中央の目安を上回る改定案も出ており、47都道府県すべての最終額が確定した段階ではありません。
この記事では、2026年度の最低賃金に関する最新ニュースから、引き上げ時期、都道府県別の状況、現在の時給への影響まで解説します。
- 2026年度はAランク54円、B・Cランク56円の引き上げが目安となっている
- 新しい最低賃金は都道府県ごとに決定され、発効日も全国一律ではない
- 最低賃金を下回る時給は発効後に見直しが必要だが、すでに上回っている場合の昇給は一律に義務づけられていない
出典:令和8年度地域別最低賃金額改定の目安について|厚生労働省
※この記事は、2026年8月時点の情報です。
【最新】2026年度の最低賃金の改定状況と今後の流れ

2026年度の最低賃金については、国が示す引き上げの「目安」がすでに決まり、各地域で最終的な金額を決める段階に入っています。ここでは、2026年8月7日時点で判明している金額と、今後の審議の流れを確認します。最終決定額と中央審議会の目安を混同しないことが大切です。
2026年度の最低賃金はいくらになる?
2026年7月28日、中央最低賃金審議会は2026年度の地域別最低賃金について、Aランク54円、Bランク56円、Cランク56円の引き上げを目安とする改定案を取りまとめました。
Aランクは埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、愛知県、大阪府の6都府県です。Bランクは北海道や宮城県、茨城県、静岡県、京都府、福岡県など28道府県、Cランクは青森県、岩手県、高知県、熊本県、沖縄県など13県となっています。
仮にすべての都道府県がこの目安どおりに引き上げた場合、全国加重平均は現在の1,121円から55円上昇して1,176円となり、引き上げ率は4.9%です。ただし、この1,176円は2026年度の最終的な全国加重平均ではありません。地方最低賃金審議会では地域の事情を踏まえて目安を上回る金額を改定することがあり、実際に2026年度もその動きがみられます。
出典:令和8年度地域別最低賃金額改定の目安について|厚生労働省
中央最低賃金審議会の今後のスケジュール
2026年度の中央最低賃金審議会による目安審議は、7月28日の改定案によって一区切りとなりました。2026年6月26日に厚生労働大臣から諮問を受け、その後6回の目安に関する小委員会で審議したうえで、7月28日に目安が示されています。
今後の中心となるのは各都道府県の地方最低賃金審議会です。中央最低賃金審議会の目安を参考にしながら、地域の賃金実態や経済状況、関係者の意見などを踏まえて審議し、各都道府県労働局長へ改訂します。その後、異議申出などの手続きを経て、都道府県労働局長が最低賃金額を決定し、官報公示を経て発効します。
そのため、2026年8月は各都道府県の改定案が順次公表される時期です。自分がはたらく地域の正確な最低賃金を確認したい場合は、中央の目安だけでなく、都道府県労働局から発表される最終的な改定額と発効日を確認しましょう。
出典:令和8年度地域別最低賃金額改定の目安について|厚生労働省
今回の最低賃金引き上げの背景
最低賃金は、労働者の生計費、一般的な労働者の賃金、通常の事業の賃金支払能力という3つの要素を考慮して決められます。地域別最低賃金では生活保護との整合性にも配慮して審議されます。
2026年度も、物価や生活費の動向、賃金の上昇、人手不足、中小企業を含めた企業の支払能力などを踏まえながら審議が進められています。中央の目安をそのまま全国一律に適用するのではなく、各地域がそれぞれの事情を考慮して最終額を決める仕組みです。
2026年度の最低賃金はいつから引き上げられる?

2026年度の最低賃金は、中央最低賃金審議会が目安を示した日からすぐに適用されるわけではありません。各都道府県で審議と決定、公示などの手続きを行ったあと、新しい最低賃金が発効します。発効日は都道府県によって異なるため、自分の勤務地の情報を確認する必要があります。
最低賃金が決定・適用されるまでの流れ
地域別最低賃金は、国が示した引き上げ額の目安が、そのまま各都道府県の最低賃金になるわけではありません。中央最低賃金審議会が示した目安を参考に、各都道府県で審議を行ったうえで、最終的な金額が決まります。2026年度についても、中央最低賃金審議会は7月28日にAランク54円、B・Cランク56円という引き上げ額の目安を示しており、その後、各地域で審議が進められています。
おおまかな流れは次のとおりです。
- 厚生労働大臣が中央最低賃金審議会に、引き上げ額の目安について諮問する
- 中央最低賃金審議会が審議し、各都道府県が属するランク別の引き上げ額の目安を示す
- 各都道府県の地方最低賃金審議会が、国の目安や地域の賃金・経済状況などを踏まえて審議する
- 地方最低賃金審議会が、審議結果として改定額を答申する
- 答申内容の要旨を公示し、異議申出に関する手続きを行う
- 都道府県労働局長が最低賃金額を決定し、その内容を公示する
- 定められた発効日から、新しい最低賃金が適用される
このように、国が示す引き上げ額は各都道府県が金額を決めるための「目安」であり、最終決定額ではありません。 各都道府県では地域の状況を踏まえて改定額を検討するため、国の目安を上回る引き上げ額となる場合もあります。最終的には、都道府県労働局長が決定した金額が、定められた発効日から適用されます。
新しい最低賃金が適用されるタイミング
新しい最低賃金が適用されるのは、それぞれの都道府県で定められた発効日から適用されます。地方最低賃金審議会が申告しただけでは新しい最低賃金が正式に適用されたことにはならないため、発効日まで確認しましょう。
たとえば、2026年度について神奈川県では1,225円から54円引き上げた1,279円とし、2026年10月1日の発効を予定する改定案が出ています。愛知県も1,140円から55円引き上げた1,195円とし、10月1日の発効予定と公表されています。
給与の締め日や支払日だけで判断するのではなく、いつの労働に対する賃金なのかを確認することが重要です。厚生労働省も、賃金算定期間の途中に発効日がある場合、発効日以降は改定後の最低賃金額以上を支払う必要があるとしています。
出典:神奈川県最低賃金額54円の引上げへ-本日、神奈川地方最低賃金審議会が答申-|神奈川労働局
都道府県によって発効日が異なる
最低賃金の発効日は全国で同じではありません。各地域で審議や異議申出、公示などの手続きを進めるため、決定時期によって発効日にも差が生じます。
現行の2025年度最低賃金を見ても、栃木県は2025年10月1日、東京都は10月3日、岡山県は12月1日、秋田県は2026年3月31日など、発効時期には大きな違いがあります。
2026年度も「10月になれば全国すべて同時に変わる」と考えず、勤務地の都道府県について金額と発効日をセットで確認しましょう。
都道府県別の最低賃金一覧表(2026年最新)

2026年8月7日時点では、47都道府県すべてについて2026年度の最終的な最低賃金額と発効日が確定しているわけではありません。そこで、以下の表では労働局の公式発表を確認できた地域は「答申」とし、それ以外は現行額に中央最低賃金審議会のランク別目安を加えた「目安試算」を掲載しています。目安試算は正式な最低賃金ではないため、実際にはこれを上回る金額となる可能性があります。
※「答申(とうしん)」は、審議会などの専門家の会議が、検討した結果をまとめて行政機関に示す意見や案のことです。
| 都道府県 | 最低賃金額(円) | 発効年月日 | 改定前の額(円) | 引き上げ額(円) |
|---|---|---|---|---|
| 北海道 | 1,131(答申) | 2026年10月1日予定 | 1,075 | 56(答申) |
| 青森県 | 1,085(目安試算) | 未定 | 1,029 | 56(目安) |
| 岩手県 | 1,087(目安試算) | 未定 | 1,031 | 56(目安) |
| 宮城県 | 1,098(答申) | 2026年10月1日予定 | 1,038 | 60(答申) |
| 秋田県 | 1,087(目安試算) | 未定 | 1,031 | 56(目安) |
| 山形県 | 1,088(目安試算) | 未定 | 1,032 | 56(目安) |
| 福島県 | 1,089(目安試算) | 未定 | 1,033 | 56(目安) |
| 茨城県 | 1,130(目安試算) | 未定 | 1,074 | 56(目安) |
| 栃木県 | 1,125(答申) | 未定 | 1,068 | 57(答申) |
| 群馬県 | 1,119(目安試算) | 未定 | 1,063 | 56(目安) |
| 埼玉県 | 1,196(答申) | 2026年10月1日予定 | 1,141 | 55(答申) |
| 千葉県 | 1,195(答申) | 2026年10月1日予定 | 1,140 | 55(答申) |
| 東京都 | 1,280(答申) | 未定 | 1,226 | 54(答申) |
| 神奈川県 | 1,279(答申) | 2026年10月1日予定 | 1,225 | 54(答申) |
| 新潟県 | 1,106(目安試算) | 未定 | 1,050 | 56(目安) |
| 富山県 | 1,118(目安試算) | 未定 | 1,062 | 56(目安) |
| 石川県 | 1,110(目安試算) | 未定 | 1,054 | 56(目安) |
| 福井県 | 1,109(目安試算) | 未定 | 1,053 | 56(目安) |
| 山梨県 | 1,108(目安試算) | 未定 | 1,052 | 56(目安) |
| 長野県 | 1,117(目安試算) | 未定 | 1,061 | 56(目安) |
| 岐阜県 | 1,121(目安試算) | 未定 | 1,065 | 56(目安) |
| 静岡県 | 1,153(目安試算) | 未定 | 1,097 | 56(目安) |
| 愛知県 | 1,195(答申) | 2026年10月1日予定 | 1,140 | 55(答申) |
| 三重県 | 1,143(答申) | 2026年10月1日予定 | 1,087 | 56(答申) |
| 滋賀県 | 1,136(目安試算) | 未定 | 1,080 | 56(目安) |
| 京都府 | 1,178(目安試算) | 未定 | 1,122 | 56(目安) |
| 大阪府 | 1,231(答申) | 2026年10月1日予定 | 1,177 | 54(答申) |
| 兵庫県 | 1,172(目安試算) | 未定 | 1,116 | 56(目安) |
| 奈良県 | 1,107(目安試算) | 未定 | 1,051 | 56(目安) |
| 和歌山県 | 1,101(目安試算) | 未定 | 1,045 | 56(目安) |
| 鳥取県 | 1,086(目安試算) | 未定 | 1,030 | 56(目安) |
| 島根県 | 1,089(目安試算) | 未定 | 1,033 | 56(目安) |
| 岡山県 | 1,103(目安試算) | 未定 | 1,047 | 56(目安) |
| 広島県 | 1,141(目安試算) | 未定 | 1,085 | 56(目安) |
| 山口県 | 1,099(目安試算) | 未定 | 1,043 | 56(目安) |
| 徳島県 | 1,102(目安試算) | 未定 | 1,046 | 56(目安) |
| 香川県 | 1,092(答申) | 未定 | 1,036 | 56(答申) |
| 愛媛県 | 1,089(目安試算) | 未定 | 1,033 | 56(目安) |
| 高知県 | 1,079(目安試算) | 未定 | 1,023 | 56(目安) |
| 福岡県 | 1,113(目安試算) | 未定 | 1,057 | 56(目安) |
| 佐賀県 | 1,086(目安試算) | 未定 | 1,030 | 56(目安) |
| 長崎県 | 1,087(目安試算) | 未定 | 1,031 | 56(目安) |
| 熊本県 | 1,090(目安試算) | 未定 | 1,034 | 56(目安) |
| 大分県 | 1,091(目安試算) | 未定 | 1,035 | 56(目安) |
| 宮崎県 | 1,079(目安試算) | 未定 | 1,023 | 56(目安) |
| 鹿児島県 | 1,082(目安試算) | 未定 | 1,026 | 56(目安) |
| 沖縄県 | 1,079(目安試算) | 未定 | 1,023 | 56(目安) |
なお、目安試算欄は2026年度の正式な決定額ではありません。地方最低賃金審議会の答申や労働局長の決定によって変更されるため、求人への応募や給与確認をする際は最新の公式情報を確認してください。
出典:令和8年度地域別最低賃金額改定の目安について|厚生労働省
※「答申」と記載した金額は、各都道府県労働局が公表した2026年度の最低賃金改定答申をもとに掲載しています。
最低賃金が最も高い都道府県
2026年8月7日時点で公式の答申額を確認できる地域のうち、最も高いのは東京都の1,280円です。東京都では現在の1,226円から54円引き上げる答申が2026年8月5日に出されています。
ただし、答申後には所定の手続きが残っているため、この段階では「答申額」である点に注意してください。
最低賃金が最も低い都道府県
2026年度の最終的な最低賃金が最も低くなる都道府県は、2026年8月7日時点ではまだ確定していません。
改定前の2025年度最低賃金では、高知県、宮崎県、沖縄県が1,023円で全国最低です。この3県はいずれも2026年度のCランクに分類され、中央の目安は56円の引き上げとなっているため、目安だけを機械的に加えると1,079円になります。ただし、地方審議会が56円を上回る引き上げを答申する可能性もあるため、1,079円が2026年度の確定額というわけではありません。
最低賃金の全国加重平均
現在適用されている2025年度の地域別最低賃金の全国加重平均は1,121円です。2026年度については、中央最低賃金審議会の目安どおりに全都道府県が引き上げた場合、全国加重平均は1,176円となります。前年から55円、率にすると4.9%の上昇です。
ただし、これはあくまで目安どおりの場合の試算です。実際には宮城県のように中央の56円という目安を上回る60円の引き上げ答申や、栃木県の57円、埼玉県と千葉県の55円など、中央の目安を上回る答申が出ています。最終的な全国加重平均は、全都道府県の改定額が出そろってから確認する必要があります。
出典:令和8年度地域別最低賃金額改定の目安について|厚生労働省
最低賃金が引き上げられると現在の時給はどうなる?

最低賃金が引き上げられたときに重要なのは、現在の時給と新しい最低賃金を比較することです。最低賃金を下回る場合と、すでに上回っている場合では、会社に求められる対応が異なります。また、改定日前後では適用される最低賃金も変わります。
新しい最低賃金を下回る場合は時給が引き上げられる
発効後の時給が新しい最低賃金を下回る場合、使用者は少なくとも最低賃金以上を支払わなければなりません。
労働者と会社の双方が最低賃金より低い時給に合意していたとしても、その部分は法律上無効となり、最低賃金額と同額の賃金を定めたものとして扱われます。最低賃金との差額が支払われていない場合は、その差額を請求できます。
最低賃金は、正社員だけでなくパート、アルバイト、臨時、嘱託など雇用形態にかかわらず原則として適用されます。
すでに最低賃金を上回っている場合は必ずしも昇給しない
現在の時給が改定後の最低賃金を上回っている場合、最低賃金が上がったという理由だけで、同じ引き上げ額だけ時給を上げなければならないというルールはありません。
たとえば、新しい最低賃金が1,200円となった地域で現在の時給が1,300円なら、最低賃金法上は1,300円のままでも最低基準を満たしています。実際に昇給するかどうかは、会社の賃金制度、労働契約、就業規則、評価制度などによって異なります。
ただし、最低賃金が上がることで、新しく採用する人との賃金差が小さくなるなどの事情から、企業が既存従業員の賃金を自主的に見直すことはあります。
改定日前後ではたらいた場合は適用額が異なる
新しい最低賃金は発効日から適用されるため、改定日の前日までの労働と発効日以後の労働では、最低基準となる金額が異なります。
たとえば10月1日が発効日なら、原則として9月30日までの労働はそれまでの最低賃金、10月1日以降の労働は新しい最低賃金を基準として確認します。給与が翌月に支払われる場合でも、単純に給与の支払日だけで新旧を判断するものではありません。
勤務先の給与計算で疑問がある場合は、給与明細と勤務記録を照らし合わせ、どの期間の労働に対してどの時間単価が使われているのか確認しましょう。
ここ数年、最低賃金が引き上げられている理由とは?

最低賃金は近年、継続的に引き上げられています。その背景には一つの理由だけではなく、生活費の上昇、政府による賃上げ環境の整備、人手不足による人材獲得競争など複数の要素があります。最低賃金を取り巻く状況を知ると、今後の賃金動向も考えやすくなるでしょう。
物価や生活費が上昇している
最低賃金は、労働者の生計費や一般的な労働者の賃金、企業の賃金支払能力などを考慮して決定されます。物価の上昇によって生活に必要な費用が増えることは、最低賃金の改定を検討するうえで重要な要素の一つです。

実際に、『シェアフル』ユーザー28,892人を対象にした「【2026年】賃上げ実態調査」では、物価上昇によって生活費が「大きく増えた」と回答した人が48.8%にのぼりました。また、直近1年以内に賃上げがなかった人は45.4%でした。賃上げがあった人でも67.1%が生活は「あまり変わらない」と回答しており、物価や生活費の上昇に対して、賃金の伸びが十分ではないと感じている人が多いことがうかがえます。
出典:【2026年】賃上げ実態調査『シェアフル』スキマバイトリサーチ|シェアフルマガジン
政府が賃上げを推進している
政府が賃上げしやすい環境づくりを政策課題として位置づけていることも、賃金を取り巻く大きな動きの一つです。
内閣官房の日本成長戦略では、分野横断的課題の一つに「賃上げ環境整備」が掲げられています。中小企業や小規模事業者を含め、価格転嫁や生産性向上などを通じて賃上げできる環境を整える取り組みが進められています。
最低賃金の引き上げだけで賃金全体を考えるのではなく、企業が継続的に賃上げできる環境をどう整えるかも重要な政策テーマとなっています。
人手不足による賃金競争が起きている
人手不足が続く業種や地域では、人材を確保するために賃金を引き上げる必要性が高まりやすくなります。
厚生労働省の「労働経済動向調査」によると、2026年2月1日時点の労働者過不足判断D.I.は、正社員等でプラス49ポイント、パートタイム労働者でプラス28ポイントとなり、いずれも「不足」とする事業所が多い状況が続いています。
求人を出しても人が集まりにくい状況では、企業が採用時の時給を上げたり、既存従業員の定着を目的として待遇を見直したりする動きにつながります。周辺企業が賃金を引き上げれば、他社にも人材確保のための賃金競争が波及しやすくなると考えられます。
出典:過去最高の最低賃金引き上げ 上げるための三つの理由とは?〈2025年8月のニュース・経済〉|朝日新聞EduA
実はデメリットも?最低賃金の引き上げがもたらす社会への影響とは?

最低賃金の引き上げは、低賃金ではたらく人の収入増につながる一方、社会や企業に別の影響が生じる可能性もあります。特に企業側で人件費の増加を吸収できない場合は、価格や採用、勤務時間に影響することがあります。ただし、必ず以下の影響が起きるわけではなく、企業の収益力や生産性、業種などによって状況は異なります。
商品やサービスの値上げにつながる可能性がある
最低賃金の引き上げによって人件費が増え、その負担を生産性向上や利益などで吸収しきれない場合、企業が商品やサービスの価格へコストを転嫁する可能性があります。
特に人件費の占める割合が高い業種では、最低賃金の改定による影響が大きくなる場合があります。一方、適切な価格転嫁ができれば、企業が賃金を引き上げながら事業を継続するための原資を確保しやすくなります。
最低賃金の引き上げが、そのまますべての商品やサービスの値上げにつながるわけではありません。企業ごとのコスト構造や生産性、競争環境によって影響は異なります。
採用人数や労働時間が減る可能性がある
人件費の増加を吸収することが難しい企業では、新規採用を抑えたり、一人あたりのシフト時間を短くしたり、業務の省人化を進めたりする可能性があります。
一方で、時給を上げることで求人への応募が増え、人材が定着しやすくなるケースも考えられます。そのため、最低賃金の上昇が必ず採用減や労働時間の減少につながるとは限りません。
はたらく側は時給だけでなく、募集されている勤務日数や1回あたりの勤務時間、実際に得られる月収まで確認して求人を比較するとよいでしょう。
年収の壁を意識したはたらき控えが起きる
最低賃金が上がると、同じ時間だけはたらいても年間収入が増えます。その結果、税金や社会保険、扶養の基準を意識して勤務時間を減らす、いわゆる「はたらき控え」が起きることがあります。
ただし、年収の壁をめぐる制度は変化しています。厚生労働省によると、社会保険のいわゆる「106万円の壁」の賃金要件は、2026年10月に撤廃される予定です。一方、「130万円の壁」など別の基準もあるため、自分の加入状況や家族の扶養条件を個別に確認する必要があります。
時給が上がった際は、単純に勤務時間を減らす前に、年間収入と税・社会保険の負担を含めて手取りがどう変わるかを確認しましょう。
最低賃金について、よくある質問(Q&A)

最低賃金については、現在の時給がすでに高い場合や、手当を含めた計算方法、研修中の扱いなどで迷いやすいポイントがあります。ここでは、はたらく人が特に確認しておきたい5つの疑問に回答します。自分の給与が最低賃金を満たしているか判断するときの参考にしてください。
Q1:現在の時給が改正後の最低賃金を上回っている場合、時給は上がる?
最低賃金法で使用者に求められるのは、最低賃金以上の賃金を支払うことです。現在の時給が改正後の最低賃金をすでに上回っていれば、最低賃金の改定だけを理由として同額の昇給を行う法的義務はありません。
ただし、会社の賃金制度や労働契約、就業規則などに基づいて昇給する場合はあります。
Q2:最低賃金の計算に交通費や深夜手当などの手当は含まれる?
通勤手当は最低賃金の計算に含まれません。また、深夜労働に対して通常の賃金に上乗せされる割増部分も、最低賃金の対象から除外されます。
最低賃金との比較から除外される主な賃金には、次のものがあります。
- 臨時に支払われる賃金
- 1か月を超える期間ごとに支払われる賞与などの賃金
- 時間外労働の割増賃金
- 休日労働の割増賃金
- 深夜労働の割増部分
- 精皆勤手当
- 通勤手当
- 家族手当
月給制の場合も、単純に月給の総額を労働時間で割るのではなく、最低賃金の対象になる賃金だけを使って確認する必要があります。
Q3:研修期間や試用期間中は最低賃金を下回ってもよい?
研修期間や試用期間だからという理由だけで、最低賃金を下回ってよいわけではありません。原則として、試用期間中の労働者にも最低賃金が適用されます。
ただし、一定の要件に該当し、使用者が都道府県労働局長から最低賃金の減額特例許可を受けた場合には例外があります。試用期間中であることだけを理由に、会社が独自の判断で最低賃金未満の時給を設定することはできません。
Q4:会社の所在地と勤務地が違う場合、どちらの最低賃金が適用される?
基本的には、実際にはたらく事業場に適用される地域別最低賃金を確認します。会社の本社が東京都にあっても、別の都道府県にある事業場ではたらいているからといって、必ず東京都の最低賃金が適用されるわけではありません。
派遣労働者の場合は、派遣元ではなく派遣先の事業場に適用される最低賃金が適用されます。
勤務地が複数あるなど判断しにくい場合は、勤務先や労働基準監督署へ確認すると安心です。
Q5:給料が最低賃金を下回っている場合、どこに相談すればよい?
まずは給与明細や雇用契約書、勤務時間の記録などを確認し、会社へ最低賃金を下回っている可能性があることを伝えましょう。
最低賃金を下回る賃金の合意は、その部分が無効となり、使用者には最低賃金との差額を支払う必要があります。会社に相談しても解決しない場合や、自分で判断するのが難しい場合は、最寄りの労働基準監督署へ相談できます。
相談に備えて、雇用契約書、給与明細、タイムカードやシフト表など、賃金と労働時間がわかる資料を手元にそろえておくと状況を説明しやすくなります。
まとめ|最低賃金の金額と発効日を確認し、自分の時給を見直そう

2026年度の最低賃金は、中央最低賃金審議会によってAランク54円、B・Cランク56円の引き上げ目安が示され、目安どおりなら全国加重平均は1,176円になります。一方、2026年8月7日時点では各都道府県の審議が進行中で、中央の目安を上回る答申も出ているため、自分の勤務地について最終的な金額と発効日を確認することが重要です。
新しい最低賃金の発効後に現在の時給が最低賃金を下回る場合は、少なくとも新しい最低賃金以上の賃金が必要です。これから求人を探す人も、表示されている時給だけでなく、勤務開始時点で適用される最低賃金や勤務時間、月収の見込みまで確認したうえで、自分に合ったはたらき方を選びましょう。







