【早見表つき】「承知しました」と「了解しました」の違いと正しい使い分け

ビジネスメールやチャットでよく使う「承知しました」と「了解しました」。どちらも「わかりました」という意味を持ちますが、実は使う相手や場面によって適切な表現が異なります。間違って使うと失礼になることもあるため、正しく理解して使い分けることが大切です。
本記事では、「承知しました」と「了解しました」の違いを徹底解説し、ビジネスシーンでの正しい使い方を具体例とともにご紹介します。さらに、「承知いたしました」「かしこまりました」との比較がひと目でわかる早見表付きで解説するので、ぜひ参考にしてください。
「承知しました」の基本的な意味と使い方

「承知」の語源と意味
「承知」とは、「事情を理解して受け入れる」という意味を持ちます。語源は「承る(うけたまわる)」と「知る」が合わさった言葉で、鎌倉時代では武家社会の中で使われ、江戸時代では商取引や合意の場で使われました。承諾の意味に加え、相手の意向をへりくだって理解するニュアンスを含み、明治時代以降にビジネスシーンにて用いられるようになりました。
「承知しました」が持つニュアンス(目上の方への敬意・謙譲表現)
「承知しました」は、自分が相手の指示や要望を理解し、その内容を受け入れる姿勢を示す、へりくだったニュアンスを帯びた敬語表現です。相手の要望に真摯に応える姿勢を示すことができるため、信頼感や安心感を与える効果もあります。目上の上司からの指示や顧客の対応まで、幅広いビジネスシーンで用いることができます。「承知しました」は、ビジネスシーンにて無難かつ丁寧な返答表現といえます。
ビジネスメール・チャットでの使用例
上司への依頼承認時
「ご指示いただいた件、承知しました。至急対応いたします。」
「本日の会議でのご指摘、承知しました。改善案をまとめてご報告いたします。」
顧客への返信での例文
「ご要望の内容、承知しました。明日までに資料をお送りいたします。」
「ご相談いただいた件、承知しました。詳細は後ほど担当者よりご連絡いたします。」
このように「承知しました」は、フォーマルさが求められるビジネスのやり取りでも安心して使える便利な表現です。
「了解しました」との違い

「了解」の意味(理解・了承する)
「了解」とは「理解して承認する」という意味で、相手の言葉や事情を理解し、受け入れるニュアンスを持ちます。ただし、語感としては対等な立場でのやり取りに使われる傾向が強いです。
「承知しました」と「了解しました」の使い分けポイント
目上の方への返信 → 「承知しました」
上司や顧客などに対しては「承知しました」を使うのが基本です。謙譲の意味が含まれているため、敬意を明確に示すことができます。
同僚・部下への返信 → 「了解しました」でも可
同僚や部下との日常的なやり取りでは「了解しました」を使っても問題ありません。むしろ柔らかく、フランクな印象を与える場合もあります。
ビジネスシーンで「了解しました」が避けられる理由
目上の人に「了解しました」を使うと、「対等な立場で理解した」と受け取られることがあります。「承知」には”事情を理解したうえで実行する”までのニュアンスが含まれますが、「了解」は事情を理解したことを示す表現であり、謙譲・尊敬の意味が含まれていない違いがあります。上司に対して軽い印象を受ける人もいるため、敬語としては不適切とされがちです。
「承知いたしました」と「かしこまりました」との比較(早見表付き)

「承知いたしました」=より丁寧な敬語
「承知いたしました」は、「承知しました」をさらに丁寧にした表現です。フォーマルな文書や大事な商談の場など、より高い敬意を求められる場面で使われます。
「かしこまりました」=接客業で使われる最上級表現
「かしこまりました」は、ホテルや百貨店など接客業で頻繁に使われる最上級の敬語表現です。相手の意向を謹んで受け入れる姿勢を強調する表現であるため、ビジネスシーンでも上司やクライアントに向けて使うことができます。「畏まりました」という字の通り、相手の言葉を敬って受け止める意味合いから、トラブル対応や謝罪場面でも用いることができます。
シーン別・使い分け早見表(表形式)
表現 | 丁寧さ | 主な使用シーン | ポイント |
承知しました | ◎(標準的な丁寧さ) | 上司・顧客へのメールやチャット、業務指示への返答 | 謙譲を含み、目上の相手でも違和感なく使える。最も無難なビジネス表現。 |
承知いたしました | ◎◎(より丁寧) | 公式文書、重要な顧客対応、フォーマルなやり取り | 「いたしました」で謙譲度が増し、かしこまった印象を与える。 |
かしこまりました | ◎◎◎(最上級) | 顧客応対、謝罪や要望への対応、改まった場 | 「謹んでお受けします」の意。単なる理解だけでなく、相手の意向を重んじる強い姿勢を示せる。 |
了解しました | ○(ややカジュアル) | 同僚・部下とのメールや会話 | 対等な関係でのやり取りに適切。ただし目上の人には不向き。 |
了解です | △(カジュアル) | 社内チャットや親しい同僚とのやり取り | 砕けすぎるため、社外やフォーマルな場面ではNG。 |
「承知しました」の使い方を間違えないための注意点

「承知しました」の意味を誤解しがちなケース
「承知しました」は単なる「わかりました」の意味に思われがちですが、実際には相手の言葉を謙虚に受け止め、理解して受け入れるニュアンスを含む表現です。そのため、目上の人や顧客に対して使うと、礼儀正しく丁寧な印象を与える一方で、フランクな関係の同僚や親しい相手に多用すると、かえって距離感を生んでしまうことがあります。「承知しました」は誰にでも万能に使える表現ではなく、場面や相手との関係性を踏まえて使い分けることが重要なのです。
「承知しました」と「承知です」の違い(口語・カジュアル度)
「承知です」は口語的でカジュアルな表現です。ビジネスシーンで目上に使うのは避けるべきですが、チャットや同僚との会話では柔らかさが出せるケースもあります。
ビジネス敬語で避けたいNG表現
「了解です」
カジュアルで親しい間柄なら自然ですが、ビジネスシーン、特に顧客や上司への返信には砕けた表現であるため、誠意を欠いた印象を与えかねません。正しくは「承知しました」や「かしこまりました」と返すのが望ましいです。
スタンプ・絵文字のみの返信
社内チャットでの気軽なやり取りではスタンプや絵文字だけで返すこともありますが、業務連絡や取引先とのやり取りでは失礼にあたります。伝えた物事に対して責任があるのか不安感を与えてしまう可能性もあるため、正式な場面では必ず言葉で返信し、必要に応じて補足を加えることが大切です。
よくある質問(Q&A形式)

Q1. 「承知しました」と「承知いたしました」どっちが正しい?
どちらも正しいですが、「承知いたしました」の方がより丁寧です。基本は「承知しました」で十分ですが、改まった場面では「承知いたしました」を使うと良いでしょう。
Q2. 「承知しました」と「かしこまりました」はどう違う?
「承知しました」は事務的・実務的なニュアンスが強く、ビジネス全般で使える承諾の汎用表現です。対して「かしこまりました」は、相手の意向を敬いながら受け入れる、より誠意のこもった表現です。そのため、ホテルや接客の現場などで特に好まれます。相手に「自分の要望をしっかり受け止めてもらえた」という安心感を与えられるため、相手に寄り添う姿勢を伝えたいときに効果的です。
Q3. 「承知です」は失礼?
ビジネスのフォーマルなやり取りでは失礼にあたります。社内チャットやカジュアルなやり取りに限定しましょう。
Q4. 「承知しました」英語でなんて言う?
「承知しました」を英語で表す場合、状況や相手との関係性によって適切な表現が変わります。状況により以下のように表現できます。
ビジネスメール・チャットの場合
- “I understand.” → 相手の説明や依頼を理解したことをシンプルに伝える定番表現。
例文:I understand your request and will prepare the documents by tomorrow. - “Noted.” → 事務的で簡潔な表現。特に上司や同僚とのやり取りで「承知しました」と同じトーンで使える。
例文:Noted. I’ll adjust the schedule accordingly.
接客対応や顧客への応答の場合
- “Certainly.” → 「かしこまりました」に近いニュアンスで、顧客対応や接客で使うと丁寧な印象を与える。
例文:Certainly. I’ll bring you some water right away. - “Of course.” → 「もちろんです」というニュアンス。顧客の要望に柔らかく応じる場面で自然に使える。
例文:Of course. I’ll be happy to assist you with that.
Q5. 口頭とメールで表現を変えるべき?
基本的に口頭でのやり取りでは「承知しました」で問題ありません。口頭ではテンポが重視されるため、過度にかしこまらなくても自然に聞こえます。一方で、メールやビジネス文書など文字に残るやり取りでは、「承知いたしました」と謙譲表現を加えることで、相手に対しての敬意や誠意を明確に伝えることができます。フォーマルさを意識して丁寧な表現に整えることで、メール上のやり取りでも信頼感を与える効果も期待できます。
まとめ
「承知しました」と「了解しました」は、どちらも「わかりました」という意味を持ちますが、ビジネスシーンでは使い分けが必要です。
- 目上や顧客 → 「承知しました」
- 同僚や部下 → 「了解しました」も可
了解です → 承知しました → かしこまりました
★☆☆ ★★☆ ★★★
カジュアル ビジネス標準 最上級の丁寧さ
「承知しました」は、上司や取引先など、ビジネスで敬意を示すべき相手に対してもっとも無難に使える敬語表現です。フラットな関係性では「了解しました」も自然に使えますが、目上の人には避けるのが基本です。相手の意向を重んじ、誠意を強く示したい時は、相手の要望に真摯に応じる姿勢を伝える「かしこまりました」も効果的に使えます。
敬語は場面や相手、状況によって正しく使い分けることが重要です。適切な敬語表現を身につければ、ビジネスでの印象もグッと良くなるでしょう。状況に合った敬語選びを実践し、ビジネスコミュニケーションをさらに磨いていきましょう。
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