【2025年度版丨企業向け】最低賃金の引き上げはいつから?都道府県別一覧

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2025年度の最低賃金改定は過去最大規模の引き上げとなり、全国の企業にとって大きな影響を及ぼします。厚生労働省が、地方最低賃金審議会による答申を受け発表した内容によると、最低賃金の全国加重平均額は1,121円となり、前年度から66円増加しました。すべての都道府県で最低賃金が1,000円を超えたことも大きな転換点です。

本記事では、2025年度最低賃金の最新情報、都道府県別の賃金一覧、企業が直面する人件費増加や採用活動への影響、そして具体的な対応策までを徹底解説します。とくに中小企業や小規模事業者の経営者、人事担当者にとって、最低賃金の引き上げは避けて通れない課題です。本記事を通じて、必要な知識と実務対応のヒントをご覧ください。

目次

2025年度最低賃金の引き上げ概要

全国平均と引き上げ幅の特徴

2025年度の最低賃金は、全国加重平均で1,121円となりました。2024年度の1,055円から66円のアップとなり、これは過去最大の引き上げ幅です。

最低賃金の改定幅は都道府県によって異なり、最小で63円(東京都・神奈川県ほか)、最大で82円(熊本県)の引き上げとなりました。東京都、大阪府、神奈川県といった都市部は全国でも水準が高く、賃金上昇率も大きな注目を集めています。一方、高知県、宮崎県、沖縄県などの地方では全国水準との差が依然として残っていますが、それでもすべての都道府県で最低時給が1,000円を超えたのは画期的です。

企業にとっては、この改定により人件費の上昇が確定的となり、経営の見直しや採用戦略の調整が不可欠となります。

適用開始時期と決定までの流れ

最低賃金は、中央最低賃金審議会が例年夏頃に引き上げの目安を答申し、その後、各地方最低賃金審議会が地域別の金額を審議・決定します。2025年度の答申は8月に出され、8月下旬から9月にかけて都道府県ごとに公示。官報に掲載後、例年10月1日以降順次発効されます。

多くの企業は、発効日前に給与計算システムや就業規則を見直し、従業員への通知を行う必要があります。とくにアルバイトやパートの給与設定は直ちに見直さなければならず、採用活動の求人票も改定後の金額で記載しなければならない点に注意が必要です。

なお、最低賃金は改定の効力発生日から次の改定が発効する日までを適用期間とするため、次回改定までの基準額として企業経営に組み込む必要があります。

地域別最低賃金と特定最低賃金の優先関係

最低賃金には大きく分けて「地域別最低賃金」と「特定最低賃金」の2種類があります。

  • 地域別最低賃金:各都道府県ごとに定められる最低水準で、すべての労働者に適用
  • 特定最低賃金:特定の産業・職種に対して、地域別を上回る基準が設定されるもの

原則として、金額が高い方が優先されます。たとえば東京都で働く飲食店のアルバイト従業員の場合、地域別最低賃金と飲食業の特定最低賃金を比較し、高い方を支払う義務があります。

企業は職種ごとにどの最低賃金が適用されるかを確認し、給与設計の基準に反映させる必要があります。

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都道府県別最低賃金一覧【2025年度版】

2025年度の最低賃金一覧を、全国47都道府県ごとに整理しました。

全国ランキング(改定後最低賃金)

ランク都道府県名改定後最低賃金(円)改定前最低賃金(円)引き上げ額(円)引き上げ率(%)発効日
1東京都1,2261,163635.42025年(令和7年)10月3日
2神奈川県1,2251,162635.42025年(令和7年)10月4日
3大阪府1,1771,114635.72025年(令和7年)10月16日
4埼玉県1,1411,078635.82025年(令和7年)11月1日
5千葉県1,1401,076645.92025年(令和7年)10月3日
5愛知県1,1401,077635.82025年(令和7年)10月18日
7京都府1,1221,058646.02025年(令和7年)11月21日
8兵庫県1,1161,052646.12025年(令和7年)10月4日
9静岡県1,0971,034636.12025年(令和7年)11月1日
10三重県1,0871,023646.32025年(令和7年)11月21日
11広島県1,0851,020656.42025年(令和7年)11月1日
12滋賀県1,0801,017636.22025年(令和7年)10月5日
13北海道1,0751,010656.42025年(令和7年)10月4日
14茨城県1,0741,005696.92025年(令和7年)10月12日
15栃木県1,0681,004646.42025年(令和7年)10月1日
16岐阜県1,0651,001646.42025年(令和7年)10月18日
17群馬県1,063985787.92026年(令和8年)3月1日
18富山県1,062998646.42025年(令和7年)10月12日
19長野県1,061998636.32025年(令和7年)10月3日
20福岡県1,057992656.62025年(令和7年)11月16日
21石川県1,054984707.12025年(令和7年)10月8日
22福井県1,053984697.02025年(令和7年)10月8日
23山梨県1,052988646.52025年(令和7年)12月1日
24奈良県1,051986656.62025年(令和7年)11月16日
25新潟県1,050985656.62025年(令和7年)10月2日
26岡山県1,047982656.62025年(令和7年)12月1日
27徳島県1,046980666.72026年(令和8年)1月1日
28和歌山県1,045980656.62025年(令和7年)11月1日
29山口県1,043979646.52025年(令和7年)10月16日
30宮城県1,038973656.72025年(令和7年)10月4日
31香川県1,036970666.82025年(令和7年)10月18日
32大分県1,035954818.52026年(令和8年)1月1日
33熊本県1,034952828.62026年(令和8年)1月1日
34福島県1,033955788.22026年(令和8年)1月1日
34島根県1,033962717.42025年(令和7年)11月17日
34愛媛県1,033956778.12025年(令和7年)12月1日
37山形県1,032955778.12025年(令和7年)12月23日
38岩手県1,031952798.32025年(令和7年)12月1日
38秋田県1,031951808.42026年(令和8年)3月31日
38長崎県1,031953788.22025年(令和7年)12月1日
41鳥取県1,030957737.62025年(令和7年)10月4日
41佐賀県1,030956747.72025年(令和7年)11月21日
43青森県1,029953768.02025年(令和7年)11月21日
44鹿児島県1,026953737.72025年(令和7年)11月1日
45高知県1,023952717.52025年(令和7年)12月1日
45宮崎県1,023952717.52025年(令和7年)11月16日
45沖縄県1,023952717.52025年(令和7年)12月1日

上位・下位県の特徴

これまで「地方では最低賃金が900円台」という状況が続いていましたが、2025年度改定によって全国すべての地域で1,000円以上となりました。

地方の中小企業や小規模事業所にとっては負担が大きくなる一方で、都市部では賃金水準がさらに上がるため、求人競争の激化が避けられません。企業は地域ごとの水準と差額を把握し、自社の給与水準が採用市場においてどのような位置づけになるかを確認することが不可欠です。

全国ランキング(引き上げ額)

ランク都道府県名改定後最低賃金(円)改定前最低賃金(円)引き上げ額(円)引き上げ率(%)発効日
1熊本県1,034952828.62026年(令和8年)1月1日
2大分県1,035954818.52026年(令和8年)1月1日
3秋田県1,031951808.42026年(令和8年)3月31日
4岩手県1,031952798.32025年(令和7年)12月1日
5群馬県1,063985787.92026年(令和8年)3月1日
5福島県1,033955788.22026年(令和8年)1月1日
5長崎県1,031953788.22025年(令和7年)12月1日
8愛媛県1,033956778.12025年(令和7年)12月1日
8山形県1,032955778.12025年(令和7年)12月23日
10青森県1,029953768.02025年(令和7年)11月21日
11佐賀県1,030956747.72025年(令和7年)11月21日
12鳥取県1,030957737.62025年(令和7年)10月4日
12鹿児島県1,026953737.72025年(令和7年)11月1日
14島根県1,033962717.42025年(令和7年)11月17日
14高知県1,023952717.52025年(令和7年)12月1日
14宮崎県1,023952717.52025年(令和7年)11月16日
14沖縄県1,023952717.52025年(令和7年)12月1日
18石川県1,054984707.12025年(令和7年)10月8日
19茨城県1,0741,005696.92025年(令和7年)10月12日
19福井県1,053984697.02025年(令和7年)10月8日
21徳島県1,046980666.72026年(令和8年)1月1日
21香川県1,036970666.82025年(令和7年)10月18日
23広島県1,0851,020656.42025年(令和7年)11月1日
23北海道1,0751,010656.42025年(令和7年)10月4日
23福岡県1,057992656.62025年(令和7年)11月16日
23奈良県1,051986656.62025年(令和7年)11月16日
23新潟県1,050985656.62025年(令和7年)10月2日
23岡山県1,047982656.62025年(令和7年)12月1日
23和歌山県1,045980656.62025年(令和7年)11月1日
23宮城県1,038973656.72025年(令和7年)10月4日
31千葉県1,1401,076645.92025年(令和7年)10月3日
31京都府1,1221,058646.02025年(令和7年)11月21日
31兵庫県1,1161,052646.12025年(令和7年)10月4日
31三重県1,0871,023646.32025年(令和7年)11月21日
31栃木県1,0681,004646.42025年(令和7年)10月1日
31岐阜県1,0651,001646.42025年(令和7年)10月18日
31富山県1,062998646.42025年(令和7年)10月12日
31山梨県1,052988646.52025年(令和7年)12月1日
31山口県1,043979646.52025年(令和7年)10月16日
40東京都1,2261,163635.42025年(令和7年)10月3日
40神奈川県1,2251,162635.42025年(令和7年)10月4日
40大阪府1,1771,114635.72025年(令和7年)10月16日
40埼玉県1,1411,078635.82025年(令和7年)11月1日
40愛知県1,1401,077635.82025年(令和7年)10月18日
40静岡県1,0971,034636.12025年(令和7年)11月1日
40滋賀県1,0801,017636.22025年(令和7年)10月5日
40長野県1,061998636.32025年(令和7年)10月3日


全国ランキング(引き上げ率)

ランク都道府県名改定後最低賃金(円)改定前最低賃金(円)引き上げ額(円)引き上げ率(%)発効日
1熊本県1,034952828.62026年(令和8年)1月1日
2大分県1,035954818.52026年(令和8年)1月1日
3秋田県1,031951808.42026年(令和8年)3月31日
4岩手県1,031952798.32025年(令和7年)12月1日
5福島県1,033955788.22026年(令和8年)1月1日
5長崎県1,031953788.22025年(令和7年)12月1日
7愛媛県1,033956778.12025年(令和7年)12月1日
7山形県1,032955778.12025年(令和7年)12月23日
9青森県1,029953768.02025年(令和7年)11月21日
10群馬県1,063985787.92026年(令和8年)3月1日
11佐賀県1,030956747.72025年(令和7年)11月21日
11鹿児島県1,026953737.72025年(令和7年)11月1日
13鳥取県1,030957737.62025年(令和7年)10月4日
14高知県1,023952717.52025年(令和7年)12月1日
14宮崎県1,023952717.52025年(令和7年)11月16日
14沖縄県1,023952717.52025年(令和7年)12月1日
17島根県1,033962717.42025年(令和7年)11月17日
18石川県1,054984707.12025年(令和7年)10月8日
19福井県1,053984697.02025年(令和7年)10月8日
20茨城県1,0741,005696.92025年(令和7年)10月12日
21香川県1,036970666.82025年(令和7年)10月18日
22徳島県1,046980666.72026年(令和8年)1月1日
22宮城県1,038973656.72025年(令和7年)10月4日
24福岡県1,057992656.62025年(令和7年)11月16日
24奈良県1,051986656.62025年(令和7年)11月16日
24新潟県1,050985656.62025年(令和7年)10月2日
24岡山県1,047982656.62025年(令和7年)12月1日
24和歌山県1,045980656.62025年(令和7年)11月1日
29山梨県1,052988646.52025年(令和7年)12月1日
29山口県1,043979646.52025年(令和7年)10月16日
31広島県1,0851,020656.42025年(令和7年)11月1日
31北海道1,0751,010656.42025年(令和7年)10月4日
31栃木県1,0681,004646.42025年(令和7年)10月1日
31岐阜県1,0651,001646.42025年(令和7年)10月18日
31富山県1,062998646.42025年(令和7年)10月12日
36三重県1,0871,023646.32025年(令和7年)11月21日
36長野県1,061998636.32025年(令和7年)10月3日
38滋賀県1,0801,017636.22025年(令和7年)10月5日
39兵庫県1,1161,052646.12025年(令和7年)10月4日
39静岡県1,0971,034636.12025年(令和7年)11月1日
41京都府1,1221,058646.02025年(令和7年)11月21日
42千葉県1,1401,076645.92025年(令和7年)10月3日
43埼玉県1,1411,078635.82025年(令和7年)11月1日
43愛知県1,1401,077635.82025年(令和7年)10月18日
45大阪府1,1771,114635.72025年(令和7年)10月16日
46東京都1,2261,163635.42025年(令和7年)10月3日
46神奈川県1,2251,162635.42025年(令和7年)10月4日

最低賃金の推移(2020〜2025年)

以下は全国平均の最低賃金推移です。

年度最低賃金 全国加重平均額(円)引き上げ額(円)引き上げ率(%)
2015年(平成27年)798
2016年(平成28年)823253.1
2017年(平成29年)848253.0
2018年(平成30年)874263.1
2019年(令和元年)901273.1
2020年(令和2年)90210.1
2021年(令和3年)930283.1
2022年(令和4年)961313.3
2023年(令和5年)1,004434.5
2024年(令和6年)1,055515.1
2025年(令和7年)1,121666.3

この推移からもわかるとおり、毎年30〜40円の引き上げが続き、2025年度は過去最大の上昇幅となりました。政府は「2020年代中に全国加重平均で最低賃金1,500円」を目標としており、今後も毎年大幅な引き上げが続く可能性が高いと考えられます。

企業は短期的なコスト対応だけでなく、中長期的に人件費上昇を前提とした経営戦略を策定する必要があります。

政府が目指す「最低賃金1,500円」と今後の見通し

政府は「令和7年度(2025年度)」の改定を経て、今後も最低賃金を大幅に引き上げ、2020年代中に全国加重平均で1,500円を実現することを目標としています。この方針は、物価上昇や生活費増大への対応だけでなく、賃金格差の是正や地方経済の底上げを狙った政策です。

企業にとっては、毎年の改定による人件費アップが「一時的な負担」ではなく「中長期的に継続する前提」であることを踏まえた経営戦略が必要です。

政策の背景と物価上昇への対応

最低賃金の引き上げには以下の背景があります。

  • 物価の上昇:エネルギー価格や食品価格の高騰により、生活コストが増加
  • 生活保障の観点:賃金水準が低い地域でも生活が成り立つよう調整
  • 社会保険料負担の増加:企業・従業員双方の負担を軽減するため、賃金水準の引き上げが不可欠

このように、最低賃金は「労働者の生活を守る制度」であると同時に、企業にとっては経営課題の一部として捉える必要があります。

今後のシミュレーションと実現可能性

2029年に全国平均1,500円を達成するためには、2025年度の最低賃金(加重平均額)から379円上昇させる必要があります。単純計算すると、今後は毎年約95円の増額が必要です。

年度最低賃金 全国加重平均額(円)引き上げ額(円)引き上げ率(%)
2025年(令和7年)1,121
2026年(令和8年)1,215948.4
2027年(令和9年)1,310957.8
2028年(令和10年)1,405957.3
2029年(令和11年)1,500956.8

特に中小企業や小規模事業者にとっては、毎年の上昇に対応するための業務効率化、価格戦略、人材定着策の強化が急務となります。

最低賃金引き上げが企業に与える影響

最低賃金の引き上げは単に給与の増加だけでなく、採用活動・人材定着・経営全体に広範囲な影響を及ぼします。

人事・採用担当者が直面する課題

最低賃金が全国的に上昇すると、企業間での給与競争が激化します。とくにアルバイトやパートの採用では、給与水準が応募数に直結するため、求人の魅力を高める工夫が不可欠です。

給与を上げざるを得ない中で、福利厚生やシフトの柔軟性など非金銭的要素も含めた総合的な職場環境改善が求められます。

人件費・コスト増加の試算と対応方法

例えば、最低賃金が時給1,121円に引き上げられた場合、フルタイム従業員(1日8時間・月20日勤務)の場合の月給換算は約179,000円、年収ベースで約215万円となります。

従業員数が多い飲食店や小売業では、人件費全体が数百万円単位で増加することも珍しくありません。企業は業務効率化や価格転嫁を進める一方で、補助金や助成金の活用も視野に入れる必要があります。

現場のシフト・業務への影響

最低賃金引き上げによって、現場のシフト管理や労働時間の調整も課題になります。

  • 飲食店や小売業:ピーク時間帯に集中したシフト編成が求められる
  • 製造業:業務の自動化や設備投資による効率化が進む
  • サービス業:短時間勤務者の活用によってコスト負担を分散する工夫が必要

こうした業務設計の見直しが、今後の人材確保と経営維持の鍵を握ります。

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違反した場合のリスクと事例

最低賃金法に違反すると、企業は罰則や信用低下といった重大なリスクを負います。

最低賃金法違反の罰則と処分

最低賃金を下回る給与を支払った場合、労働局や労基署の調査を受け、罰金50万円以下の刑事罰に処される可能性があります。違反が発覚すると、企業の社会的信用が損なわれ、採用活動にも悪影響が及びます。違反は「コスト削減」どころか「リスク増大」につながるため、法令遵守は必須です。

活用できる助成金・支援策

最低賃金の引き上げによる企業の負担を軽減するため、厚生労働省や地方自治体はさまざまな支援制度を用意しています。

業務改善助成金

中小企業が、事業場内の最低賃金を「一定額」引き上げ、生産性向上のための設備投資等を行なう場合に、その費用の一部を助成されるという、厚生労働省の制度です。例えば、POSレジやシフト管理システムの導入、作業効率を高める機器の購入などが対象となります。

キャリアアップ助成金

非正規雇用者を正社員化・処遇改善する企業を支援するという、厚生労働省の制度です。人材定着と労働条件改善を同時に進められるため、最低賃金引き上げ時代においても有効な活用策といえます。

その他の支援制度と申請方法

  • 地方自治体の補助金・助成金:地域に応じた中小企業向けの人材確保支援策が実施されており、こちら活用できる場合があります。
  • 労働局・ハローワークの相談窓口:助成金制度の案内・相談支援が行われており、手続きに関する支援を受けられることがあります。
  • 一般的な申請の流れ:交付申請書の提出 → 助成金交付決定 → 実施報告 → 支給
    ただし、制度によって申請方法や必要書類、申請後の手続きが異なるため、導入前に必ず最新の助成金要領を確認する必要があります。

企業は早めに制度を確認し、導入可能な支援策を活用することで、人件費上昇を一部でも相殺することができます。

経営戦略としての対応策

最低賃金の引き上げは避けられない流れであり、単なるコスト増加と捉えるのではなく、経営戦略の一環として向き合う必要があります。ここでは企業が実行できる代表的な対応策を解説します。

価格転嫁の方法と顧客理解の獲得

最低賃金の上昇によるコスト増加は、価格設定の見直しによって一部を吸収することが可能です。

  • 方法の例:メニューの一部値上げ、サービスのオプション化、会員制の導入など。
  • 顧客への説明:単なる「値上げ」ではなく「品質維持・サービス改善のための見直し」と伝えることで理解を得やすくなります。

価格転嫁を成功させるには、顧客とのコミュニケーションが不可欠です。透明性を持って説明することで、反発を最小限に抑えることができます。

業務効率化と生産性向上

人件費上昇を吸収するもう一つの方法が業務効率化です。

  • ITツールの導入(勤怠管理、シフト自動作成、在庫管理)
  • 作業フローの見直し(無駄な業務の削減)
  • 設備投資(省人化できる機器の導入)

生産性の向上は人件費負担を軽減するだけでなく、従業員の満足度向上にもつながります。

福利厚生の充実で人材定着を図る

最低賃金が上昇する中で、給与以外の魅力を打ち出すことも重要です。

  • 食事補助や交通費支給
  • 柔軟なシフト制度
  • 賞与やインセンティブ制度の導入

福利厚生はコストではなく「投資」として捉えることで、人材定着率の向上や採用コスト削減につながります。

採用活動への影響と解決策

最低賃金の引き上げは、採用市場の競争環境を大きく変化させます。

求人情報の見直しと差別化ポイント

給与水準だけではなく、次の要素を求人票に明記することが重要です。

  • 勤務時間の柔軟性
  • 職場環境の特徴(チームワーク、雰囲気など)
  • 将来的なキャリアアップの可能性

これにより、「給与以外の価値」を求職者に伝えることができます。

最低賃金引き上げに対する就業者の声

スキマバイトサービス『シェアフル』を提供するシェアフル株式会社では、『シェアフル』ユーザーを対象に、最低賃金金額改定の認知を地域ごとに調査しました。その結果、以下のような傾向が見られました。

1.最低賃金改定に関する認知度調査の結果、平均最低賃金が低いエリア(北海道・東北/四国/九州)では、改定について「知っている」と回答した割合が60%を上回り、他エリアに比べてもおおよそ関心が高いことが明らかになった。

2.また、若年層(10代)の認知度は60%未満と低いものの、賃金改定後には「より良い条件の求人を探したい」「シフトを増やしたい」と回答した割合が多く、積極的な姿勢がうかがえた。 

3.一方、40代以降の中高年層については「知っている」と回答した割合が60%以上と高い反面、改定後の行動については「より良い条件の求人を探したい」に次いで「特に変化はなさそう」の回答が多く、改定への期待感は限定的であることがわかった。

このように、就業者側は収入面での改善を歓迎する一方で、企業側の採用枠やシフト削減に不安を感じています。企業はこうした声を理解した上で、求人設計を行う必要があります。

シェアフル株式会社「〜賃金水準が低いエリアほど認知度が高く、6割以上が改定について「知っている」と回答〜

2025年度の最低賃金に関してよくある質問

2025年度の最低賃金はいくらになる?

厚生労働省が発表した「地域別最低賃金の全国一覧」によると、2025年度の最低賃金引き上げ額の幅は63円~82円となりました。全国加重平均額は1,121円で、2024年度の1,055円から66円の増加。過去最大の引き上げが10月以降発効されます。

2025年度の最低賃金引き上げはいつ?

答申を経て、各都道府県の官報公示を経たのち、2025年10月1日以降に順次適用されます。

まとめ|2025年度の最低賃金引き上げを受けたうえでの企業の生存戦略

2025年度の最低賃金改定は、全国加重平均1,121円で、2024年度の1,055円から66円の増加という過去最大の引き上げであり、今後も継続的に賃金上昇が続くことが予想されます。

企業にとっては、人件費増加という課題に直面する一方で、採用競争力の強化や職場環境改善のきっかけにもなります。

  • 価格戦略の見直し
  • 業務効率化と生産性向上
  • 福利厚生の充実による人材定着
  • 助成金や補助金の積極的活用

これらを組み合わせることで、最低賃金引き上げ時代においても企業は持続的に成長することが可能です。

本記事を参考に、自社の採用・経営戦略を今一度チェックし、未来の変化に備えてください。

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この記事を書いた人

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