【例文あり】不採用通知の正しい送り方と内容|印象を損なわない対応ガイド

企業が採用活動を行う中で、選考の過程で不採用となった方へ連絡をする「不採用通知」は避けては通れない重要な業務です。本記事では、不採用通知の送り方やタイミング、例文を豊富に交えながら、応募者の印象を損なわずに企業の信頼を守る対応方法を解説します。メール、電話、郵送といった手段別の注意点や、選考段階別の文例、さらには不採用通知を効率化する方法まで、実務に役立つ内容を網羅的にご紹介します。
不採用通知とは?企業としての意義と役割

不採用通知とは、採用選考の過程で採用を見送る判断を下した応募者に対し、その旨を正式に伝える連絡のことです。単なる「結果連絡」ではなく、企業としての誠意を示す重要なコミュニケーションでもあります。
不採用通知を丁寧に行うことは、以下のような意味を持ちます。
- 企業イメージの向上・信頼の維持:連絡がない、失礼な文面だった、などの対応は、SNSなどを通じてマイナスイメージが拡散するリスクがあります。
- 応募者との良好な関係の継続:不採用であっても将来的な再応募やタレントプール活用の可能性があります。
トラブル防止:不採用通知を行わないことで「結果が聞けない」「応募書類が返ってこない」などの問い合わせやクレームが発生し、余計な対応コストが発生します。
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不採用通知を送る適切なタイミングとは

不採用通知を送るタイミングは、選考のフェーズによって異なりますが、共通して大切なのは「できる限り早く、丁寧に」です。遅延した通知は応募者の不安や不信感を招き、企業イメージを損なう原因となります。
書類選考の場合
応募受付後、書類選考で不採用が決まった段階で速やかに通知を行いましょう。目安は「応募から1週間以内」が理想です。
面接選考の場合
面接後は応募者も心理的に期待値が高くなっているため、迅速な対応がより重要になります。「面接日から3営業日以内」の通知が目安です。
最終選考や内定後辞退の場合
面接選考同様、「面接日から3営業日以内」の通知が目安です。また、選考終盤では感情的な要素も強くなるため、事務的な対応にならないよう、感謝と配慮を込めた通知文が求められます。
不採用通知に含めるべき基本構成|文面の要素や言い回しなど

不採用通知を送る際には、文面の構成にも一定のルールや配慮が必要です。以下では、不採用通知メールに最低限含めるべき要素を解説します。
件名の書き方
件名は応募者が開封前に目にする重要なポイントです。曖昧すぎず、しかし過度に事務的・冷淡な印象を与えないように注意が必要です。
例:
- 【選考結果のご連絡】○○株式会社 採用担当より
- 【○○株式会社】選考結果のご案内(ご応募ありがとうございました)
応募者名・宛名の正しい記載方法
宛名は「フルネーム+様」が基本です。間違いのないよう、応募書類を参照して正確に記載しましょう。
NG例:「応募者様」「田中 太郎 さん」などの曖昧な表現
OK例:「田中 太郎 様」
挨拶と謝意の伝え方
最初の一文には、応募への感謝と丁寧な挨拶を必ず入れましょう。事務的すぎる印象を避けるためにも、文章のトーンに誠意が感じられる表現を心がけてください。
例:
「このたびは、弊社の求人にご応募いただき、誠にありがとうございました。」
選考結果の伝え方
不採用の旨を伝える際は、できるだけ柔らかい表現にしつつ、曖昧にならないように伝えるのがポイントです。
例:
「慎重に選考を進めてまいりましたが、誠に残念ながら今回はご希望に沿う結果とならなかったことをお知らせいたします。」
応募書類の扱い
書類返却の有無については明記しましょう。返却する場合は返送方法と時期を、返却しない場合は「適切に破棄させていただく」旨を記載します。個人情報の取り扱いに関しては、信頼を損なわないためにも丁寧に表現します。
結びの表現と署名の書き方
締めの言葉では、今後の活躍を祈るなどポジティブな印象で終えると好印象です。
例:
「末筆ながら、今後のご活躍を心よりお祈り申し上げます。」
署名には会社名・部署名・担当者名・連絡先などを明記しましょう。
【手段別】不採用通知を送る際の注意点とは?|マナーや気をつけるべき言い回し
不採用通知は、送信手段によって適した文面や配慮事項が異なります。企業の規模や採用方針、応募者との接点の深さに応じて適切な手段を選択し、伝え方を工夫しましょう。
メールで送る場合
最も一般的な通知手段がメールです。事務的で簡潔な反面、冷たい印象を与えやすいため、言葉のトーンと誠実な文章が鍵を握ります。
- 件名と冒頭文で丁寧さを表現する
- 差出人名・署名情報を明記する
- 開封確認機能を使う際は慎重に
テンプレートの活用は効率化に有効ですが、使い回しではなく一文でも応募者に応じた文言を入れるだけで印象が大きく変わります。
電話で伝える場合
特に最終面接後や経営者層の面接後など、丁寧な対応が求められる場合には電話連絡も有効です。
- 応募者の都合に配慮した時間帯に電話をかける
- 内容は簡潔かつ明瞭に伝える
- 感情的なリアクションへの対応を事前に想定しておく
留守番電話の場合は、簡潔な伝言と再連絡の案内を残しましょう。
郵送で通知する場合
郵送はフォーマルさを重視する場面に適しています。特に、応募者の年齢層が高めの場合や、公的な職種の採用時に活用されます。
- 宛名はフルネームで、誤記がないように確認
- 封筒やレター用紙は会社指定のものを使用
- 履歴書返却がある場合は、丁寧な添え状を同封
誠意と配慮が伝わるよう、文章のトーンに十分気を配りましょう。
人材紹介会社を通じて伝える場合
採用活動を人材紹介会社(エージェント)経由で行っている場合は、エージェントを通じて不採用連絡を行うのが一般的です。
- 自社で直接通知するのは控える
- エージェントに丁寧な説明と意図を伝えておく
- 再推薦の可能性も想定し、否定的すぎる言い回しを避ける
【選考段階別】不採用通知メールの例文|コピペで使えるテンプレートをご紹介
ここでは、実務ですぐに使える不採用通知メールの例文を、選考のフェーズごとに紹介します。用途に応じて適宜編集してご活用ください。
例文1|書類選考で不採用の場合(履歴書の返却なし)
件名:選考結果のご連絡(○○株式会社 採用担当)
本文:
○○ ○○ 様
このたびは弊社の求人にご応募いただき、誠にありがとうございました。
書類選考の結果、慎重に検討を重ねたうえで、
誠に恐縮ながら今回はご期待に沿いかねる結果となりました。
ご提出いただいた応募書類につきましては、当社にて責任をもって破棄させていただきます。
今後のますますのご活躍を、心よりお祈り申し上げます。
○○株式会社 採用担当
〒000-0000 東京都○○区○○1-2-3
saiyo@example.co.jp
03-1234-5678

例文2|書類選考で不採用の場合(履歴書の返却あり)
件名:書類選考結果のご連絡と履歴書ご返送について
本文:
○○ ○○ 様
このたびは弊社の採用募集にご応募いただき、誠にありがとうございました。
書類選考を行いました結果、誠に恐縮ではございますが、
今回の募集につきましてはご希望に沿いかねる結果となりました。
ご提出いただきました履歴書等は、本日郵送にてご返却させていただきますので、
到着まで今しばらくお待ちいただけますと幸いです。
末筆ながら、今後のご健勝とご活躍を心よりお祈り申し上げます。
○○株式会社 採用担当
〒000-0000 東京都○○区○○1-2-3
saiyo@example.co.jp
03-1234-5678
例文3|面接後に不採用となる場合(履歴書の返却なし)
件名:面接選考結果のご連絡
本文:
○○ ○○ 様
先日はお忙しい中、弊社の面接にご参加いただきありがとうございました。
選考を慎重に進めさせていただきましたが、
誠に恐縮ながら今回はご縁を見送らせていただく結果となりました。
ご提出いただいた応募書類は、弊社にて適切に処理させていただきます。
短い期間ではありましたが、貴重なお時間をいただき誠にありがとうございました。
またのご縁がございましたら幸いに存じます。
○○株式会社 採用担当
〒000-0000 東京都○○区○○1-2-3
saiyo@example.co.jp
03-1234-5678
例文4|面接後に不採用となる場合(履歴書の返却あり)
件名:面接選考結果のご連絡と履歴書のご返却について
本文:
○○ ○○ 様
このたびは弊社の採用募集にご応募いただき、誠にありがとうございました。
また、お忙しい中ご来社いただきましたこと、重ねて御礼申し上げます。
面接選考の結果、慎重に検討を重ねましたが、
誠に残念ながら今回はご希望に沿うことがかないませんでした。
ご提出いただきました履歴書は、本日郵送にてご返送させていただきましたので、
ご査収くださいませ。
末筆ながら、田中様の今後のご活躍とご健勝を心よりお祈り申し上げます。○○株式会社 採用担当
〒000-0000 東京都○○区○○1-2-3
saiyo@example.co.jp
03-1234-5678
不採用通知の送付や対応に関してよくある質問

不採用理由は伝えるべき?
基本的には不採用理由を明記する必要はありません。その理由は以下の通りです。
- 採用の合否は多面的な評価に基づいており、明確な理由を一つに絞ることが難しいため
- 言い回しによってはトラブルや法的リスクを招く可能性があるため
- 応募者に誤解を与える表現になりかねないため
- 不採用理由を伝えることで選考基準が漏洩する恐れがあるため
ただし、関係を良好に保ちたい人材や、再応募を歓迎する場合などには、ポジティブなフィードバックを添えるのも有効です。
履歴書返送時は添え状が必要?
返送の際は、できる限り手書きまたは印刷した添え状を同封するのが望ましいです。
内容は以下のような簡潔な形式が一般的です。
- 応募へのお礼
- 不採用となった旨の報告
- 応募書類の返送に関する案内
- 今後の活躍を祈る一文
わずか数行でも、誠意と配慮が伝わる対応になります。
再度応募したいという返信が来たら?
まずは丁寧に感謝の意を示し、社内の方針に応じた対応を行います。
- 同一ポジションに再応募できないルールがある場合:その旨を明記
- ポジションが異なれば応募可能な場合:改めて応募を歓迎する旨を伝える
- 曖昧な返答は避け、明確かつ簡潔に答えるのがポイントです
不採用通知に返信が来た場合の対応方法
応募者からの返信には以下のようなパターンがあります。
- 感謝の意を伝える返信:原則返信不要。ただし時間があれば簡単なお礼も可
- 理由を尋ねる問い合わせ:上述の方針に従って対応
- 苦情や批判的内容:感情的にならず冷静に、必要であれば法務部と相談
応募者との接点は企業イメージの形成に大きく影響するため、最後まで誠実な姿勢を崩さないことが重要です。
なぜ不採用通知で企業の印象が左右されるのか?
不採用通知は、たとえ選考を通過しなかった応募者であっても、「自社の採用体験」の一部です。以下のような影響があります。
- SNSや口コミサイトへの投稿で、採用対応の評判が広がる
- 応募者が将来的に再び応募するか否かに直結する
- 他の求職者への紹介・評判に間接的に波及する
「不採用通知」は単なる業務連絡ではなく、ブランディングやリファラル採用の起点ともなり得る重要な接点です。
スキマバイトの採用でも不採用通知は必要?
短期・単発のスキマバイト採用であっても、応募者対応の質が問われる時代です。
- 応募者の体験を軽視しない姿勢が、企業全体の信頼感につながる
- 他案件への再エントリーや口コミによる紹介につながることも
ただし、全応募者に個別対応するのが困難な場合は、簡易的な定型文や自動返信機能を活用し、「無視されていない」という安心感を与える配慮が望ましいです。
シェアフルなら、不採用通知は不要
スキマバイトサービス『シェアフル』では、マッチングしたユーザーをキャンセルする場合、双方のやりとり無しで完結させることが可能です。そのため、不採用の際に通知の連絡をする必要がありません。また、「ブロック機能」を活用することで、一度就業してもらったものの、あまりマッチしていなかったユーザーからの応募を制限することができます。
まとめ|丁寧な通知対応が企業の信頼を築く
不採用通知は、企業の誠実さや配慮の姿勢を示す場面でもあります。
「どうせ不採用だから」と軽視せず、一人ひとりへの丁寧な対応が企業イメージの向上・リファラル採用・タレントプール形成へとつながります。形式的になりすぎず、かといって主観的にならず。
冷静さと温かさのバランスがとれた不採用通知こそが、これからの採用活動において企業の評価を高める鍵となるでしょう。