医学部生の就職先98%は臨床医師!医者以外の就職先3選も紹介
医学部への入学を目指している方は、医学部を卒業したあとにどんな就職先があるか気になりますよね。
結論からお伝えすると、医学部を卒業した学生のほとんどは、病院に勤めて臨床医として患者さんの診療や治療をおこなっています。
しかし、医学部に入学しても医者以外の道に進んでいる人もいるのが事実です。
そこで今回の記事では、医学部を卒業した後の学生の進路についてご紹介します。
✓ 医学部生のほとんどが「医者」に就職する理由
✓ 医学部生が大学院へ進学する理由
✓ 医学部生の「医者」以外の就職先5選
医学部生の進路|就職か?進学か?
医学部生の卒業後は、病院に就職する人がほとんどです。
そもそも医学部は、6年間で医者になることを想定したカリキュラムが修了するため、進学してもっと研究したいという方が少ない、ということですね。
それでは医学部生の卒業後の進路実態について、以下で詳しくご紹介します。
医学部生は就職する人が98%
医学部生のほとんどは卒業後に、進学ではなく「臨床医」として一般の病院や大学病院へ就職することが多いです。
文部科学省の「医学部医学科卒業者の進路状況調査 調査結果 3ページ目」のデータより、日本の全医学部生6,733人の中から臨床医として病院に就職した人は6,598人。
つまり、医学部生全体の、98.0%が「医者」になっているのです。
残りの2.0%の医学部生は、大学院へ進学したり一般の企業に勤めたりしています。
上記のことから、医学部へ進学した学生のほとんどが「医者」になるということがわかります。
医学部生が大学院へ進学をしない理由
医学部生が大学院へ進学をしない理由は、学部卒でも「医師免許を取得できるから」です。
そもそも医学部へ入学する学生は「医者になりたい」という想いの学生が多いことから、学部卒で医師免許を取得した時点で「医者として病院へ就職」するパターンが多いのです。
逆に「進学したい」と考える医学部生には、以下の理由が考えられます。
- 研究医として働きたい
- 大学の教授になりたい
- もっと医療について勉強したい
最新の医療について勉強しつつ「未解明の病気の治療法や診断方法を解明したい」という方が、大学院への進学を目指しています。
逆に、上記に該当しない「医者になって多くの人の命を救いたい」という方が、学士号を取った後に病院へ就職するのです。
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医学部を卒業して「医者」になるには「医師免許」が必要
医学部を卒業して「医者」になるためには、医師免許を取得する必要があります。
以下では「医師免許の受験方法」や「受験資格について」のご紹介をしていきます。
医学部の「学士号」を取れれば、医師国家試験を受験できる
医師国家試験の受験資格は、6年制の医学部医学科で「学士号」を取得することです。
つまり、医学部に入学し普通に卒業までできるのであれば、医師免許を受験できます。
もし、ほかの学科の学生で「大学院から医学部へ編入した」という方は、大学院の4年間でも医師国家試験の受験資格を得られます。
医師免許の合格率は90%以上
医者になるためには「医師国家試験」に合格して「医師免許」を取得する必要があります。
この「医師国家試験」の合格率は、2024年の「厚生労働省 第118回医師国家試験の合格発表について」データによると、新卒者で95.4%、全体を合わせると92.4%でした。
つまり、卒業が確定した医学部生のほとんどが、医師免許の試験に合格しているということになります。
この結果は「医学部生は医者を目指している」「医師免許がないと医者になれない」という理由から、真剣に試験に望んでいる学生が多いことから得られる結果ですね。
医学部生が大学院へ進学する3つのメリット
医学部生は「学士号」を取得すれば医師免許の取得条件を満たせるのに、なぜ、わざわざ大学院へ進学する人がいるのでしょうか。
医学部生が大学院へ進学するメリットは、以下の3つです。
- 教授を目指せる
- 研究医を目指せる
- 最新の医療知識が得られる
それでは、以下で詳しくご紹介してきます。
1. 教授を目指せる
医学部で勉強をしていると「もっと医学の研究がしたい」「医療の知識を他の人に伝えたい」という方も出てくるでしょう。
そんな方の中で、医学部を卒業した後の進路で教授を目指している方は、大学院へ進学して「博士号」を取る必要があります。
もっと具体的に「医学部の教授」になるまでのプロセスを伝えると、以下のとおりです。
- 学士課程修了(大学卒業):6年間
- 研修医:2年間
- 大学院博士課程修了:4年間
- 助手または講師
- 准教授
- 教授
上記のとおり、教授と一緒に研究ができる「助手」になるためにも、最低12年のステップが必要です。最短で30歳ですね。
また、助手になるためには、大学院学士課程を修了する以外にも研修医として現場で働く必要があります。
研修医として働く場合は、国で定められた研修制度によって2年間病院で働かなければいけません。(参照:1 医師臨床研修制度について)
助手から教授になるためには、さらに多くの勉強時間や論文の提出が必要ですが、日本の医学を広めるためにもやりがいのある仕事です。
2. 研究医を目指せる
臨床医として一般の病院や大学病院へ勤めるのではなく「最新の医療を発展させるための研究も続けたい」という方は、研修医を目指す道もあります。
研究医とは、患者さんの診断や治療をおこないつつ、研究機関でも医療の研究をする医師のことです。
研究医には以下の2種類があります。
- 基礎研究医:未解明の病気の原因や治療法の解明をする医師
- 臨床研究医:一般の病院や大学病院に勤めながら研究をおこなう医師
2019年12月頃に流行した「新型コロナウイルス」の原因解明などをおこなうのは、基礎研究医の仕事です。
上記のように「世界の医療技術を発展させて、より多くの人々を救うために研究医になりたい」という方は、大学院へ進学すると研究医になりやすいというメリットがあります。
3. 最新の医療知識が得られる
大学院へ進学すると、病院などの医療現場で働いているだけでは得られない、最新の医療知識にも触れることができます。
将来的には臨床医として病院に勤めようと考えている方でも、患者さんの病状を正確に把握するためにも、常に新しい医療知識を更新し続けることは重要。
また、大学院へ進学すると、教授からの推薦により海外へ留学して、さらに最先端の医療について学ぶチャンスも得られる可能性があります。
海外でのつながりを増やして最新の医療知識を得たい方は、大学院へ進学することがおすすめです。
医学部生の医者以外の就職先3つを紹介
医学部生が医者以外の就職先として選ぶ業種は、以下の3つがあります。
- 保健所
- 産業医
- 医工学
「医療の知識を別の分野でも知識を活かしたい」という場合は、以下で紹介する就職先をチェックしましょう。
1. 保健所
医学部を卒業した後の就職先として「保健所で働く」という選択肢があります。
保健所は「地域住民の健康づくり」のために、さまざまサポートをしている公的施設です。
保健所の具体的な仕事内容として「飲食店を始めるときや学校祭で食品を提供するときなどに、保健所の審査を受けて問題ないか確認される」というイメージをする人はいるでしょう。
しかし、保健所では地域住民の健康をサポートするために、以下のサポートをおこなっています。
- 赤ちゃんが生まれたばかりのお母さんへの健康サポート
- 会社やプライベートで精神的に悩んでいる方へのサポート
- 感染症や結核などの予防に関するサポート
- 動物愛護・狂犬病などの予防に関するサポート
- アレルギーや基礎疾患についてのサポート
上記のサポートをするために、保健所には医師が配置されるのです。
また、医師以外にも「保健師・薬剤師・獣医師・栄養士・精神保健福祉士」など、さまざまな分野のプロフェッショナルが配置されます。
医療の知識を使って地域に密着したサポートしたい方は、保健所での仕事が向いています。
2. 産業医
医学部を卒業して、一般企業に「産業医」として就職するケースもあります。
産業医とは、「労働安全衛生規則」によって会社に配属することを義務付けられている職種です。
産業医は労働者の健康管理をおこなうために存在します。
具体的な仕事内容は、以下のとおり。
- 定期的な健康診断
- 職場環境のチェック
- 労働者のストレスチェック
上記のように、従業員が働きやすい環境を作るためにメンタル的なケアをする仕事です。
産業医になるためには、医学部を卒業するだけでなく日本医師会が開催する「産業医学講習会」に参加する必要があります。
企業の職場環境を整えて、社会的なサポートをしたい方におすすめの就職先です。
3. 医工学
医工学は、医療の最新技術を活かして医療機器の開発・改良に携わる仕事をします。
医工学の技術が発展することで、これまでに見つけることのできなかった病気を早期発見できるようになったり、治療ができるようになったりするため、医療業界には欠かせない仕事です。
身近な具体的な例だと、MRIなどの検査機器や義手・義足の製作・設計をします。
実際に働く場合は、医療機器メーカーに勤めることになるでしょう。
医療の知識とものづくりをかけ合わせて人々を救っていきたいと思っている方は、医工学を学んでその知識をみにつけることもできます。
まとめ
この記事では、医学部を目指している学生が医者へ就職する理由と、医者以外の就職先について解説しました。
医学部の学士課程6年間を修了すると、医師国家試験の受験資格が得られます。
そのため、国家資格に合格した医学部生のほとんどが、そのまま一般の病院や大学病院へ就職します。
しかし「医療の知識をもっと学びたい」「医療技術をもっと研究したい」という方は、教授や研究医を目指すために、大学院へ進学する方もいます。