求人掲載料金の相場は？費用対効果を高めるためのポイントも解説

求人広告の出稿を考えるにあたって、最初に気になるのが「掲載料金の相場」ではないでしょうか。求人メディアによって料金体系や費用感は大きく異なり、選び方を間違えると無駄なコストが発生するおそれもあります。

本記事では、主な求人メディアの特徴や掲載料金の相場、費用対効果を高めるための具体的なポイントまで詳しく解説します。

主な求人広告メディアと特徴

求人を掲載できる媒体にはさまざまな種類があり、それぞれ特徴や得意とする採用ジャンルが異なります。選ぶメディアによって、かかる費用も採用結果も大きく変わってきます。

ここでは、有料・無料の求人サイトをはじめ、紙媒体やハローワーク、SNS広告など、代表的な求人メディアを6つに分けてご紹介します。

有料求人サイト

有料求人サイトは、求人情報を一定期間掲載することで料金が発生するタイプの求人メディアです。代表的なサービスには、リクナビNEXT、doda、マイナビ転職などがあり、正社員や中途採用を中心に幅広い職種の募集に対応しています。

料金は掲載エリアや掲載期間、原稿サイズなどによって異なり、数万円から数十万円まで幅があります。オプションとして、検索上位表示やバナー広告などを追加すると、さらに費用がかかるケースもあります。求職者の利用数が多く、知名度も高いため、幅広い層へのアプローチが可能ですが、採用難易度や人材の質に応じた媒体選びが重要です。

無料求人サイト

無料求人サイトは、求人情報を掲載する際に料金が発生しないタイプの求人メディアです。Indeed（インディード）の無料掲載枠や「エンゲージ」「ジモティー」などが代表例として挙げられます。なかには有料プランと併用できるハイブリッド型のサービスもあり、「まずは無料で様子を見てから、反応を見て有料オプションを追加する」という運用をしている企業も多く見られます。

一方で、無料で掲載できる分、求人情報の掲載数が多く、他社の情報に埋もれてしまうリスクもあります。また、原稿作成や効果測定などは基本的に企業側で対応する必要があり、何かと手間がかかることもあるでしょう。より目立たせたい場合には、有料オプションの活用を検討する場面も出てきます。

求人誌・新聞広告

求人誌や新聞の折込広告は、Web媒体とは異なる層にアプローチできる手段として、今なお一定のニーズがあります。例えば、ネットに不慣れなシニア世代や、地域密着の職を探している人などには、紙媒体のほうが情報が届きやすいケースもあります。求人誌は駅やコンビニなど人の目に触れやすい場所に設置されているため、手に取ってもらいやすいのが特徴です。

費用はエリア・掲載サイズ・発行部数によって異なりますが、1〜5万円前後が一般的な相場となっています。

一方、掲載後に原稿の修正ができない、配布期間が限られているといった制約があるため、短期間で応募を集めたい場合にはやや不向きです。どちらかといえば、地域で安定した採用を行いたい企業に向いている媒体といえるでしょう。

Google広告・SNS広告

Google広告やSNS広告は、近年特に活用が進んでいる求人手法のひとつです。従来の求人サイトや紙媒体と違い、検索ワードやユーザー属性に応じて表示を調整できるため、ピンポイントで求人情報を届けることができます。

Google広告をはじめ、InstagramやFacebook、X（旧Twitter）などのSNS広告では、画像や動画を活用した訴求も可能で、企業の雰囲気や職場環境を視覚的に伝えられる点が大きな特徴とされています。

また、広告費は1日数百円〜数千円から設定でき、クリック数や表示回数に応じて課金される仕組みが主流です。

ただし、効果的な配信には広告運用のノウハウが欠かせません。そのため、社内での運用が難しい場合は、外部の運用代行サービスの利用を検討する必要があります。

求人マッチングアプリ

求人マッチングアプリは、スマートフォンを活用して求職者と企業を結ぶ新しい採用手法として近年注目を集めています。代表的なものとしては「シェアフル」や「タイミー」などがあり、特に単発バイトやスキマ時間ではたらきたい人材との相性が良いとされています。

特徴は、利用者のプロフィールや希望条件に基づいて、自動でマッチングが行われるため、採用までのスピードが速いことです。料金体系はアプリによって異なりますが、採用が決定した時点で課金される「成果報酬型」を採用しているものが多く、無駄な費用を抑えやすい点もメリットです。

短期間で人手を集めたい業種や繁忙期対策として、活用するのが効果的でしょう。

ハローワーク

ハローワークは、厚生労働省が運営する公的な職業紹介機関で、全国どのエリアでも無料で求人を掲載できるのが大きな特徴です。掲載にあたっては、所轄のハローワークに求人票を提出することで、窓口やWebサイト「ハローワークインターネットサービス」に情報が公開されます。

幅広い年齢層の求職者が利用しており、特に地域密着型の求人やシニア層向けの採用では効果が期待できます。無料で掲載できる反面、応募者の対応や原稿作成はすべて自社で行う必要があるため、ある程度の体制を整えておくことが前提となります。コストを抑えつつ人材を募りたい場合は、選択肢のひとつとして活用を検討してみましょう。

求人掲載料金の相場

求人広告を出稿する際は、媒体や採用区分によって費用の幅が異なります。適切な予算設定のためにも、まずはおおまかな相場を把握しておくことが大切です。

ここでは、新卒・中途・アルバイト・単発バイトの4つに分けて、求人掲載料金の相場を見ていきましょう。

新卒採用

新卒採用では、即戦力というよりも将来の成長を期待して採用を行うケースが多く、企業の中長期的な戦力確保という側面があります。そのため、求人広告の掲載期間も長期にわたることが一般的で、費用の目安としては1シーズン（約3〜4カ月）40万円〜300万円程度が相場です。

掲載する媒体は、学生が就職活動でよく利用する大手就職情報サイトが中心です。プラン内容によって費用は大きく変動し、例えば検索結果で自社の求人を上位に表示させる、あるいは原稿の掲載スペースを広く取るといったオプションを加えることで、料金料金が上がる場合があります。

少子化の影響もあり、競争が激化している新卒市場では、採用枠に見合った予算の投下が重要になってきています。

中途採用 

株式会社マイナビが公開している「中途採用状況調査2024年版（2023年実績）」によると、企業が中途採用のために求人広告に投じた平均費用は142.1万円となっています。業種別に見ると差は大きく、たとえば「IT・通信・インターネット」業界では平均273.6万円と、全体の中でも高い水準です。

一方、「医療・福祉・介護」は54.8万円、「商社」は59.6万円と比較的低めにとどまっています。これは職種の専門性や人材の獲得競争の激しさに応じて、必要な掲載プランやオプションの規模が異なるためと考えられます。加えて、昨今は広告費全体が上昇傾向にあるため、採用予算を立てる際には、こうした動向も見越しておく必要があるでしょう。

参照：株式会社マイナビ「中途採用状況調査2024年版（2023年実績）」

アルバイト・パート採用

アルバイトやパートの採用における求人広告の掲載料金は、媒体やプラン、掲載エリアによっても異なりますが、1週間の掲載で2万円から10万円程度が相場とされています。​例えば、マイナビバイトの1週間の掲載料金は2万円から、タウンワークでは、1.9万円（関東エリア）からとなっています。

原稿のサイズや表示順位を上げるオプションを追加すれば、金額はそれに応じて高くなります。 アルバイト採用は数が必要なことも多いため、掲載期間や表示範囲の設定を工夫しながら、無理のない範囲で予算を調整することが大切です。

単発バイト

単発バイトの採用では、短期間で人手を確保する必要があるため、即時性の高い求人媒体が選ばれる傾向にあります。掲載料金は1回あたりの募集単位や勤務日数に応じて変動しますが、1件あたりの採用で3,000円〜7,000円前後が相場とされています。

多くの場合、掲載自体には費用がかからず、応募者が勤務を完了したタイミングで料金が発生する「成果報酬型」が採用されており、無駄なコストを抑えながら採用活動を行える点が特徴です。短期間で確実に人手を確保したい場合に適していますが、急な欠員補充や繁忙期への対応など、スポット的な需要に対して活用するのが効果的でしょう。

主な求人広告の料金体系と特徴

求人広告の費用は、掲載するだけで料金が発生するものもあれば、採用に至ったときだけ費用が発生する成果報酬型など、さまざまな料金体系があります。

ここでは、代表的な4つの料金タイプについて、それぞれの特徴と注意点を順に解説していきます。

掲載課金型

掲載課金型は、求人広告を一定期間掲載することで料金が発生する仕組みです。もっとも一般的な課金方式で、掲載期間や対象エリアによって料金プランが細かく設定されています。

この方式の特徴は、掲載期間中に何人採用しても追加費用がかからないこと。複数名の採用を想定している場合には、結果的に1人あたりの採用コストを抑えることができるかもしれません。一方で、掲載中に応募がなかった場合でも費用は返金されないため、無駄を避けるには、原稿の内容やタイミングを工夫することが重要です。

応募数の予測がある程度立てやすい場合や、特定の時期に集中して採用を進めたい企業に適した方式といえるでしょう。

成果報酬型

求人広告では、掲載課金型が主流ではあるものの、一部のメディアでは成果報酬型が採用されています。成果報酬型には「応募課金」と「採用課金」の2種類があり、前者は応募が入った時点で、後者は採用が確定した時点で料金が発生します。

最大のメリットは、結果が出るまで費用がかからないことです。そのため、無駄なコストを避けたい場合や、初期費用を抑えて採用活動を始めたい企業にとっては取り入れやすい方式といえるでしょう。

ただし、1件ごとの成果に対する単価はやや高めに設定されていることが多く、複数名の採用を想定している場合は、結果的に掲載課金型より費用がかさむこともあります。加えて、媒体によっては掲載できるエリアや対象となるユーザー層が限られる場合もあるため、事前に内容をよく確認し、自社の採用方針と照らし合わせて検討することが大切です。

クリック課金型

クリック課金型は、ユーザーが求人広告をクリックしたタイミングで費用が発生する料金体系です。主に求人検索エンジンや検索連動型広告で採用されており、表示されただけでは費用は発生しないため、無駄な広告費がかかりません。

クリック単価は1回あたり数十円〜数百円程度が一般的で、あらかじめ上限予算を設定して運用することができるため、コスト管理もしやすいでしょう。一方、クリック数は獲得できても応募や採用につながらない場合もあるため、原稿内容の工夫やターゲティング精度の高さが求められます。広告運用の知識がある企業にとっては扱いやすい仕組みといえるでしょう。

完全無料型

完全無料型の求人広告は、掲載にあたって一切の費用が発生しないサービスを指します。初期費用や月額料金が不要で、採用が決まった場合でも課金されない点が最大の特徴です。コストをかけずに求人活動を始められるため、採用予算が限られている企業や、まずは試しに求人を出してみたいと考える企業にとっては、活用を検討しやすいでしょう。

ただし、誰でも気軽に掲載できる反面、競合する求人情報が多く、自社の掲載内容が埋もれてしまう可能性もあります。求人内容の質やタイミングなどに工夫を加えないと、思ったような成果は得られないかもしれません。 

求人広告の費用対効果を高めるポイント

求人広告にかけるコストを無駄にしないためには、やみくもに掲載するのではなく、費用対効果を意識した運用が欠かせません。ここでは、求人広告の費用対効果を高めるために押さえておきたいポイントを3つご紹介します。

採用したい人の特徴を明確にして媒体を選ぶ

求人広告を掲載する際には、どんな人材を採用したいのかを事前に明確にしておくことが重要です。例えば、学生アルバイトを募集したいのか、業界経験のある即戦力を求めているのかによって、選ぶべき媒体や訴求方法は変わってきます。

ターゲットが定まっていないままでは、求人原稿の内容に一貫性がなくなり、結果的に応募数が伸びなかったり、意図しない層からの応募が増えたりする原因になります。

また、媒体ごとに強みや得意とする層、地域性も異なるため、自社が求める人物像にマッチした求人メディアを選定することが、応募の質を高めるうえでも欠かせません。

求人サイトごとの強みを知り、自社に合うものを選ぶ

前述したように、求人サイトにはそれぞれ異なる特徴があり、職種や業種、応募者層、掲載形式などに得意・不得意があります。例えば、アルバイト採用に強いサイトもあれば、専門職向けに特化した媒体も存在します。

掲載する求人内容が同じでも、媒体の性質によって応募の数や質に差が出ることは少なくありません。そのため、複数の求人サイトを比較し、自社の募集内容とマッチする媒体を見極めることが重要です。

媒体選定を誤ると、期待していた層に情報が届かず、掲載費用に見合う成果が得られない可能性もあります。自社の目的や人材像に合致したサイトを選ぶようにしましょう。

定期的に効果を測定し、求人内容を改善する

求人広告を掲載した後は、ある程度の掲載期間を経てから効果検証を行うことが重要です。

費用対効果を高めるためには、表示回数・クリック率・応募数などのデータを基に、掲載前後でどのような変化があったかを確認する必要があります。これらの数値を客観的に分析することで、改善すべきポイントが明らかになるはずです。

仮に応募が思うように集まっていない場合、そのまま放置しても状況は変わりません。むしろ早い段階で見直しを図ることが、採用活動を前進させるポイントになります。検証結果を踏まえ、原稿内容や打ち出し方を調整していけば、反応率の向上も期待できるでしょう。 

まとめ

本記事では、求人掲載料金の相場や料金体系の違い、費用対効果を高めるためのポイントを解説しました。

求人広告は、媒体の種類や料金体系によって特徴が異なり、自社の採用目的やターゲットに合ったものを選ぶことが重要です。また、ただ広告を出すだけでなく、効果を検証しながら内容を見直していくことで、採用の質とコストバランスを両立しやすくなります。無駄な出費を防ぐためにも、戦略的な運用を心がけましょう。