【2025年最新版】バイトは雇用保険に入れない?加入条件や未加入時の対応を解説

「アルバイトで雇用保険に加入しなくてもいい?」「雇用保険に入るメリットやデメリットが気になる」といった疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか?
実は、一定の条件を満たせば、アルバイトでも雇用保険に加入でき、万が一の失業時には給付を受けることが可能です。
この記事では、バイトの雇用保険加入条件や加入するメリット、保険料の目安、未加入時の対処法などについて、わかりやすく解説します。
バイトで雇用保険なしは違法ではない

アルバイトとしてはたらく場合、雇用保険に加入していなくても違法にはなりません。雇用保険は、一定の条件を満たした労働者が加入する制度であり、すべてのアルバイトが対象となるわけではないためです。
雇用保険の適用条件には、「1週間の労働時間が20時間以上」「31日以上の雇用見込みがあること」 などが含まれます。これらの条件を満たさない場合、雇用保険に入る必要はありません。
ただし、加入条件を満たしているにもかかわらず、雇用保険に加入させない場合は、労働基準法違反となる可能性が高いといえます。その場合、労働基準監督署に申告・相談するのも一つの手です。
雇用保険の基本

ここでは、雇用保険の基礎知識について解説します。
雇用保険とは
雇用保険は、労働者が失業した際やキャリアアップを目指す際に、国から経済的な支援を受けられる制度です。
主に、会社や事業所で雇われてはたらく人が対象となり、一定の条件を満たせばアルバイトやパート従業員も対象となります。
失業中の生活費を補助してもらえるほか、再就職を促進する支援や職業訓練の費用補助など、多岐にわたる給付が用意されています。雇用保険に加入することで、万が一の失業時にも再雇用に向けて環境を整えられるでしょう。
また、雇用保険の保険料は、労働者と雇用主が負担する仕組みです。アルバイトの場合も、対象となる場合は給与から一定額が控除されます。
雇用保険の種類
雇用保険には、さまざまな状況に対応した給付が用意されています。それぞれの特徴を理解し、自身の状況に適した給付を活用しましょう。
種類 | 特徴 | 手当 |
求職者給付 | 失業中の生活や再就職活動を支援する給付金 | ・基本手当・傷病手当 |
就職促進給付 | 早期再就職を促すための給付金 | ・再就職手当・就業促進定着手当・広域求職活動費 |
教育訓練給付 | スキルアップのための講座費用を補助する給付金 | ・一般教育訓練給付金・専門教育訓練給付金 |
雇用継続給付 | 60歳以上の労働者や育児・介護者を支援する給付金 | ・育児休業給付金・高年齢雇用継続基本給付金 |
各給付には申請条件があるため、事前に確認して活用しましょう。
バイトの雇用保険の加入条件
アルバイトやパートでも、一定の条件を満たせば雇用保険に加入できます。雇用保険に入ることで、失業時に給付を受けられるほか、育児や高齢者向けの支援制度も活用できます。
ただし、すべてのアルバイトが対象ではなく、労働時間や雇用期間によって加入の可否が決まります。加入条件を知らないと、本来受け取れる給付を逃す可能性があります。
自分の働き方が対象となるかを確認しておくとよいでしょう。
雇用保険に入れるケース
アルバイトやパートでも、以下の条件を満たすと雇用保険の対象となります。
<1週間の所定労働時間が20時間以上>「所定労働時間」とは、会社と労働者が契約で定めた通常の労働時間のことです。シフト制の場合でも、平均して20時間以上働く場合は対象になります。 <31日以上の雇用見込みがある>アルバイトとしての契約が1カ月以上続く予定であれば加入できます。短期バイトや試用期間中など、すぐに雇用が終了する場合は対象外です。 |
雇用保険に入れないケース
次のような場合、アルバイトやパートではたらいていても雇用保険には加入できません。
<単発・短期バイトの場合>単発バイトや短期バイトなど、所定労働時間が週20時間未満、31日以上雇用が継続されない場合(季節的な雇用)は、加入条件から除外されます。 <昼間学生の場合>大学・専門学校などに通う昼間の学生は、原則として雇用保険に加入できません。ただし、夜間・通信制の学生や休学中の人は対象となる場合があります。 <船員>船員であり、特定漁船以外の漁船に乗り込むために雇用される人は、雇用保険の被保険者にはなりません。ただし、1年を通じて船員として雇用される場合を除きます。 <国、都道府県、市区町村の事業に雇用される人>国、都道府県、市区町村等の事業に雇用される人のうち、離職した後の諸給与の内容が、求職者給付および就職促進給付の内容を超える場合は、対象外となります。 |
また、前職の雇用主が雇用保険資格の喪失手続きをしていない場合は、新たな就職先の雇用保険に加入できないため注意が必要です。
バイトを掛け持ちしている場合
雇用保険は、原則として1つの事業所(勤務先)での労働時間を基準に判断されます。しかし、掛け持ちをしている場合は例外となるため注意が必要です。
<週20時間以上の勤務先が2つある場合>2つの勤務先で、それぞれ週20時間以上はたらいている場合は、どちらか一方の勤務先で雇用保険に加入することになります。 本人が好きな方を選べるわけではなく、基本的にはメインの勤務先が対象となります。主な勤務先は、給与の多い方や勤務時間の長い方が判断基準となることが多いです。 <どの勤務先も週20時間未満の場合>掛け持ちをしていても、それぞれの勤務先の労働時間が週20時間に満たない場合、雇用保険には加入できません。 例えば、A店で週15時間、B店で週10時間はたらいている場合、合計すると週25時間になりますが、雇用保険の対象にはなりません。 |
雇用保険の加入条件は、個々の勤務先ごとに判断されるため、複数の仕事を掛け持ちしているからといって自動的に加入対象になるわけではありません。
雇用保険の保険料はどれくらい?

雇用保険の保険料は、労働者と雇用主の双方が負担します。給与から一定の割合が差し引かれ、事業主も別途支払う仕組みです。
2025年の雇用保険料率は、業種によって 5.5/1000(0.55%)または6.5/1000(0.65%) に設定されています。
<保険料の例>
給与 | 雇用保険料 |
月8万円 | 440円~520円 |
月10万円 | 550円~650円 |
月15万円 | 825円~975円 |
月20万円 | 1,100円~1,300円 |
このように、雇用保険料は労働者にとって大きな負担にはならず、少額の負担で失業給付などの保障を受けられます。
雇用保険のデメリットはほとんどありません。給与からわずかに引かれるだけで、失業給付や職業訓練などの保障を受けられるので、アルバイトでも加入しておくメリットは大きいでしょう。
学生バイトも雇用保険加入は必要?
原則として、昼間に学校へ通う学生は雇用保険の対象外です。これは、雇用保険が主に生活のためにはたらく人を支援する制度だからです。そのため、大学生や専門学校生がアルバイトをしていても、通常は雇用保険に加入する必要はありません。
ただし、例外として以下のようなケースでは加入が認められます。
<夜間・通信制の学生>昼間の学業がないため、通常の労働者と同じようにはたらいているとみなされます。 <休学中の学生>学業を一時的に休んでいる場合、収入を得る手段としてはたらいていると判断されるため、対象となることがあります。 <卒業見込みで就職活動中の学生>企業から内定をもらっておらず、求職中の状態であれば、雇用保険の加入対象となる場合があります。 |
学生バイトが雇用保険に加入できるかどうかは、学校の形態や労働状況によって異なります。該当するかどうか不明な場合は、勤務先やハローワークに確認するとよいでしょう。
バイトで雇用保険に入るメリット
アルバイトでも雇用保険に加入することで、失業時の給付や職業訓練の支援を受けられる場合があります。ここでは、それぞれのメリットについて詳しく解説します。
h3: 失業給付が受けられる
雇用保険に加入していると、仕事を辞めた際に一定の条件を満たせば「失業給付(求職者給付)」を受け取ることができます。
失業給付を受ける条件
失業給付を受けるには、以下の条件を満たす必要があります。
<離職日以前の2年間で通算12か月以上、雇用保険に加入していたこと>倒産や解雇などの理由で離職した場合は、直近1年間に6か月以上の加入があれば対象となります。 <ハローワークで求職の申し込みをし、積極的に就職活動を行うこと>仕事を探す意欲があり、実際に活動していることが条件です。 |
支給される金額は、退職前の給与額や勤務期間によって異なります。アルバイトでも、雇用保険に一定期間加入していれば受け取れる可能性があるため、転職や生活の安定に役立つ制度といえるでしょう。
失業給付はいつから受けられる?
退職理由 | 待期期間 | 給付制限期間 | 給付開始の目安 |
会社都合退職(倒産・解雇など) | 7日間 | なし | 約1週間後から |
自己都合退職 | 7日間 | 2か月(原則) | 約2か月と1週間後から |
失業給付は、離職後すぐに支給されるわけではありません。実際に給付が開始されるまでには、一定の「待期期間」と「給付制限期間」があります。
まず、**ハローワークで求職の申し込みをしてから7日間の「待期期間」**が設けられています。この期間中は失業の状態が継続しているかを確認するためのもので、給付は行われません。
さらに、自己都合退職の場合は待期期間に加えて**2か月間(原則)の「給付制限期間」があります。この期間も給付は行われません。一方、倒産や解雇など会社都合での退職の場合は、この給付制限は免除されます。
したがって、自己都合退職の場合は、最短でも退職後約2か月と1週間後からの給付開始となり、会社都合の場合は約1週間後からの給付開始が目安です。
雇用保険に加入していた期間や離職理由によっても異なるため、詳しくはハローワークで確認することが重要です。
職業訓練を受けられる
雇用保険に加入していると、「教育訓練給付制度」を利用して、スキルアップのための職業訓練を受けられます。これは、再就職やキャリアアップを支援するための制度です。
教育訓練給付には、主に以下の2種類があります。
一般教育訓練給付
受講費用の20%(上限10万円)が支給され、対象となる講座には資格取得や専門スキルを学べるものがあります。
専門実践教育訓練給付
長期間の専門的な訓練を受ける場合に適用され、受講費用の50%(上限40万円)が支給されます。対象には看護師やITエンジニアの資格取得講座などがあります。
さらに、失業中で一定の条件を満たしている場合は、訓練期間中の生活費として「職業訓練受講給付金」を受け取れることもあります。アルバイトでも雇用保険に加入していれば、将来のキャリアアップに活用できる制度といえるでしょう。
バイトで雇用保険に加入していない場合の対処法

アルバイトで雇用保険に加入していない場合は、下記のように対処します。
- 上司や人事に確認する
- ハローワークに加入状況を確認する
- 雇用保険に未加入のまま退職しても手続き可能
ここでは、それぞれの対処法について解説します。
上司や人事に確認する
まずは、勤務先の上司や人事担当者に直接確認することが重要です。雇用保険は、法律で定められた条件を満たす労働者が加入すべき制度のため、勤務先が手続きを行う義務があります。
自分が加入対象であるかを確認したうえで、会社が雇用保険の手続きをしているかチェックしましょう。「雇用保険被保険者証」や給与明細を確認し、雇用保険料が控除されていれば、雇用保険に加入している状態です。
もし加入すべきなのに手続きされていなかった場合は、上司や人事担当者に加入手続きの漏れがないかを確認するといいでしょう。
ハローワークに加入状況を確認する
勤務先に確認しても不明確な場合は、ハローワークに問い合わせることで、雇用保険の加入状況を調査してもらえます。
ハローワークで確認する際に必要な情報は以下の通りです。
勤務先の正式名称・所在地勤務開始日や勤務形態(シフトや労働時間)雇用契約書や給与明細(手元にある場合) |
これらの情報をもとに、ハローワークの担当者が加入の有無を調査することで、適切な対応をアドバイスしてもらえます。
勤務先が適切な手続きを行っていない場合、ハローワークから指導が入ることもあるため、安心して相談できるでしょう。
雇用保険に未加入のまま退職しても手続き可能
もし雇用保険に未加入のまま退職してしまった場合でも、一定の条件を満たせば遡って手続きを行うことが可能です。
退職後でも手続きができるケースは以下の通りです。
本来は雇用保険に加入すべき条件を満たしていた退職後2年以内である |
遡って手続きができるのは、原則として退職後2年以内です。2年を過ぎると、遡及手続きが難しくなるので注意しましょう。
勤務先が手続きをしていなかった場合でも、ハローワークに相談すれば、過去の勤務実績をもとに加入手続きができる場合があります。給与明細や雇用契約書など、勤務実態を証明できる資料を持参するとよいでしょう。
まとめ
アルバイトの雇用保険は、少ない負担料で加入でき、転職や生活の安定に役立つ制度といえるでしょう。
もし雇用保険に加入すべきかどうか迷っている場合は、条件をしっかり確認した上で、最適な選択をすることが大切です。加入のメリットを活かすためには、給与や勤務時間を見直すことも一つの方法です。
加入条件を満たしているにもかかわらず、雇用保険に入っていない場合は、必要に応じて上司やハローワーク等に相談し、必要な手続きを行いましょう。