バイトを飛ぶとどうなる？給料・損害賠償・対処法を解説

バイトを無断欠勤してそのまま連絡もせずに辞める「バイトを飛ぶ」という行為には、さまざまなリスクがあります。

安易な行動が思わぬトラブルにつながる可能性もあるため注意が必要です。

今回は、バイトを飛んだあとに起こることや対処法について解説します。バイトの退職を考えている方はぜひ参考にしてみてください。

バイトを飛ぶとどうなる？

バイトを飛ぶと、バイト先に迷惑をかけるだけでなく、場合によっては損害賠償を請求されるなど、デメリットが多く、リスクが伴います。

ここでは、バイトを飛んだ場合に何が起こるのか、詳しく解説します。  

バイト先に迷惑がかかる

バイトを飛ぶと当日の従業員数が減り、バイト先は大きな混乱に陥ります。

飛んだ人の仕事を、残された従業員で負担することになるため、繁忙期や少人数で回しているバイト先では、営業に支障が出ることも考えられるでしょう。

出勤している従業員だけで仕事をカバーできない場合は、他店からヘルプを要請したり、休みの従業員に急遽出勤してもらったりする可能性もあります。

当日だけでなく、翌日以降の人員調整や補填なども必要となるので、バイト先全体に迷惑がかかる行為です。

バイト先から電話が来る

無断欠勤をすると、バイト先から電話が入るのが一般的です。

シフト間違いや体調不良など、さまざまな可能性を考慮して、状況確認のため電話をします。

その他、今後もバイトを続ける意思を確認することも、電話をする理由のひとつです。

辞める場合は人員の調整が必要になりますが、無断欠勤されるとどちらなのか分からず対応できません。

多くの人に心配と迷惑をかけるため、バイト先からの電話には出て、事情を伝えることが大切です。

緊急連絡先に連絡が入る

バイト先の中には、採用時に緊急連絡先を提出するため、本人と連絡がつかない場合、親や兄弟、親戚などに連絡が入る可能性があります。

緊急連絡先へ連絡する理由は、事故やトラブルに巻き込まれている可能性を考慮した安否確認が主な目的です。

バイトを飛んだことで、バイト先だけでなく、家族や親戚にも迷惑をかけたり、信頼を損ねたりする原因につながるため注意が必要です。

家に店長や担当者が訪ねて来る

本人と連絡が取れず、緊急連絡先に連絡しても所在が分からない場合は、店長や担当者が自宅を訪ねてくることがあります。

居留守を装うと、失踪や室内で倒れていると思われることもあり、状況によっては警察に相談されるケースもあるため注意が必要です。

家族にも心配をかけることになり、思わぬトラブルへと発展する可能性もあります。  

バイト先や周辺に行きづらくなる

飛んだバイト先には、当然行きづらくなります。

また、よく利用する地域ではたらいていた場合、バイト先の人と鉢合わせする可能性があるため近寄りにくくなるでしょう。

その他、バイト先が複数の店舗を構えている飲食店や小売店の場合は、従業員の異動などで、他店を利用しても顔を合わせてしまうことがあります。

プライベートの行動範囲まで影響するケースもあるため、注意が必要です。

損害賠償の対象になることもある

バイトを飛んだ場合、バイト先に対する損害賠償責任の対象となる可能性があります。

無断欠勤は、会社と締結している労働契約の違反行為にあたります。

無断欠勤が原因で売り上げが大きく減少したり、顧客との契約に支障が生じたりした場合、損害賠償請求を受ける可能性もゼロではありません。

軽い気持ちで飛ぶことが、大きなトラブルを招くこともあるため注意が必要です。

バイトを飛ぶと給料はどうなる？

バイトを飛んだ場合でも、それまでにはたらいた分の給料は基本的に支払われます。

しかし、会社の規定によっては減額される可能性もあるため事前に確認が必要です。

ここでは、バイトを飛んだ場合の給料に関する注意点を詳しく解説します。  

はたらいた分の給料は支払われる

バイトを飛んだ場合でも、はたらいた分の給料は支払われます。

日本では労働基準法第24条により、雇用主の賃金の支払い義務が定められているため、給料の未払いは法律違反です。

給料を振り込みで受け取っている場合は、給料日の入金確認と併せて、はたらいた日数や時間と金額が合っているかチェックしましょう。

入金がない、または、入金額が誤っている場合は、バイト先に問い合わせてください。

手渡しで取りに行く場合もある

給与を手渡しで行うバイト先では、直接受け取りに行く必要があります。

無断で辞めた場合、バイト先に行きづらいと感じるかもしれません。しかし、手渡し以外に給料を受け取る手段がない場合は、きちんと取りに行きましょう。

ただし、飛んだ状態のまま突然受け取りに行くのは、失礼にあたるため、事前に連絡してから訪問しましょう。

店長や担当者が不在だったり、業務の手を止めることになったりして迷惑がかかるので、事前にアポイントを取ってから訪問してください。  

規定内で減給される可能性がある

バイト先の就業規定によっては、無断欠勤や無断退職に罰則を設けていることがあります。

罰則で減給を定めている場合は、給料から減額される可能性があるため、就業規定を確認しましょう。

ただし給料の減額には、法律で上限が設けられています。

• 1回の減給額は、1日の平均賃金の半額を超えてはならない
• 減給の総額が、賃金支払期における総支給額の10分の1を超えてはならない

という制限があります。

給料が上限以上に減額されている場合は、バイト先に確認してください。

その他、制服や貸与物を返却しない場合も実費請求の対象となるケースがあります。

給料が振り込まれていない場合は連絡を入れる

給料日になっても給料が支払われていない場合は、バイト先に問い合わせてください。

バイトを飛んだ場合でも、はたらいた分の給料を支払わないのは違法です。

バイト先が給料の支払いを拒否した場合は、未払いの請求ができるので、シフト表や給料明細などを証拠として残しておいてください。

給料の支払いに対応してもらえない場合は、労働基準監督署などに相談するのがおすすめです。

バイトを飛ぶ人の4つの特徴

バイトを飛ぶ人には、共通する特徴があります。

責任感の弱さや仕事への適応力の低さなどが原因となり、結果的にバイトを放棄してしまうのが特徴です。

ここでは、バイトを飛びやすい人の特徴を4つ紹介します。  

責任感が弱い人

バイトを飛ぶ人は、バイトという立場を軽視していたり、仕事内容や役割に対する意識が低かったりなどが理由で、責任感が弱いことが原因のひとつです。

「辞めても大した問題にはならない」という考えから、無断欠勤や無断退職に抵抗がありません。周囲に迷惑がかかることを気にせずに、自分の都合だけで辞めてしまう傾向があるのが特徴です。

コミュニケーションを取るのが苦手な人

バイトを飛ぶ人の中には、コミュニケーションが苦手な人が多くいます。

業務内容で分からないことがあっても聞けなかったり、人間関係がうまく築けなかったりなど、最低限のコミュニケーションができないと、業務に支障をきたすのが特徴です。

孤立しやすくなり、バイトに対するモチベーションも下がりやすくなるでしょう。

また、普段からコミュニケーションが取れないことで、辞める相談や欠勤の連絡をするのが怖くて言えない人もいます。

上司や先輩に「辞めたい」と伝えられず、無断でフェードアウトしてしまうケースも考えられます。  

仕事を覚えるのが苦手な人

新しい仕事を覚えるのに時間がかかる人や、ミスが多くて注意されることが多い人も、バイトを飛びやすい傾向があります。

周囲との差を感じると、「自分には向いていない」と思い込み、逃げるように辞めてしまうこともあるでしょう。

しかし、初めてやる仕事であれば、ミスをすることは当然あります。

同じミスを何度も繰り返すことがないよう、メモを取って復習するなど、努力して慣れることが大切です。  

すぐに自分に合わないと諦める人

バイトを始めてすぐに「思っていた仕事と違う」「ミスして嫌になった」と感じると、深く考えずに辞める人がいます。

仕事の楽しさややりがいを見つける前に諦めてしまうため、短期間で次々とバイトを変えやすいのが特徴です。

バイトを始めてすぐは、思ったようにいかなかったり、やりたい仕事を任されなかったりして、つまらなく感じることもあります。

しかし、短期間で仕事の全貌は分かりません。合う合わないの判断をするためにも、しばらく続けてみる姿勢が必要です。

バイトを飛びたいと思う3つの原因と対処法

バイトを飛びたいと思う理由はさまざまありますが、衝動的に飛んでしまうと、今後の信用やはたらき先の選択肢が狭まる可能性もあります。

ここでは、バイトを飛びたいと思う3つの主な原因と、それぞれの対処法を紹介します。  

人間関係に悩んでいる場合

バイトを飛びたいと思う原因の一つには、バイト先の上司や同僚とうまくいかず、バイトに行くのが苦痛になるケースが挙げられます。

理不尽な対応や悪口を言われるなど、悩みの種類はさまざま。人間関係の悪い状態が続くと「もう辞めたい」と思うこともあるでしょう。

しかし、バイト先には、年齢、性別、価値観の異なる多くの人がはたらいています。ただ苦手なだけで避けると、業務に支障が出ることもあるため注意が必要です。

相手の良い面に目を向けたり、意見に耳を傾けてみたりなど、自分の考え方や行動を変える方法も取り入れてみてください。

場合によっては、信頼できる上司に相談し、対策を考えることもできます。

合わない人がいる場合は、シフトの調節や担当する仕事を分けてもらうなど、苦手な人との接触を極力減らす方法も有効です。

ハラスメントなどの悪質な場合は、会社の相談窓口や上司に相談し、適切に対応してもらいましょう。

寝坊をした場合

寝坊をしてしまい、起きた時点で始業時間を過ぎてしまった時は、連絡するのが気まずく、そのままバイトを飛びたくなることがあります。

しかし、無断で休むのはかえって印象を悪くするため注意が必要です。

寝坊した場合は、できるだけ早くバイト先に電話を入れて謝罪しましょう。誠意のある対応をすれば、信頼を失うリスクを最小限に抑えられます。

また、今後寝坊を防ぐために、アラームを複数セットする・早めに寝るなどの対策を講じることが大切です。

他の予定を優先したい場合

友人との約束や趣味のイベントなどを優先したい時に、バイトに行きたくないと思うこともあるでしょう。

しかし、シフトに入っている以上、無断欠勤すると他の従業員に迷惑がかかります。

その場は楽しくても、後から気まずい思いをして後悔する可能性が高いため、よく考えて行動してください。

どうしても外せない予定がある場合は、できるだけ早めにシフトの交換を依頼したり、代わりの人を探したりなどの対応が必要です。

責任感のある勤務姿勢や、他の従業員のシフト変更にも快く対応することで、周囲の協力も得やすくなります。

バイトを飛んでしまった場合の対処法

バイトを飛んでしまった後も、適切な対応を取ることでトラブルを最小限に抑えられます。何も連絡せずに放置すると、バイト先に迷惑がかかるだけでなく信用にも影響するため、適切な対応を心がけてください。

ここでは、バイトを飛んでしまった後に取るべき対処法を紹介します。 

バイト先にできるだけ早めに謝罪する

バイトを飛んでしまった場合、できるだけ早くバイト先に連絡し、謝罪することが大切です。

謝罪が遅れるほどバイト先からの印象は悪くなる上、連絡もしにくくなります。

謝罪と退職の意思を伝える際は、対面か電話で行うのがマナーです。すぐに電話できない場合に限り、メールで連絡しましょう。

特にメールでは誠意が伝わりにくいので、丁寧な文章を心がけてください。また、メールでの連絡になることへのお詫びを一言添えると印象が良くなります。

健康保険に加入していた場合は保険証を返却する

バイト先で健康保険に加入していた場合、退職後に保険証の返却が必要です。

保険証を返さずに放置すると、バイト先で手続きが行えず手間を掛けてしまいます。

保険証を返却しなくても、退職日の翌日から保険証の資格は喪失します。医療機関を受診する際は、医療費が全額自己負担となるため注意が必要です。

また、保険証が返却されない限り、健康保険資格喪失証明書の発行ができません。次の会社で保険に加入したい場合や、国民健康保険に切り替えたい時にスムーズに手続きが進まない可能性があるでしょう。

保険証は郵送での返却が認められることも多いので、バイト先の担当者に連絡を取り、指示に従ってください。  

貸与物を返却する

制服や名札、備品など、バイト先から借りていたものは必ず返却しましょう。

返却しないと、実費請求されることがあります。

また、貸与されているものを返却しないと「業務上横領罪」に問われる可能性もあるため注意してください。

制服などは汚れた状態で返却せず、洗えるものはきちんと洗って、きれいに畳んだ状態で返却するのがマナーです。

謝罪を兼ねて直接持参するのが理想ですが、行きづらい場合は郵送で返却しましょう。事前にバイト先へ連絡し、返却方法を伝えておくことが大切です。  

退職届の提出を求められた場合は提出する

バイト先によっては、正式な手続きとして退職届の提出を求められることがあります。

口頭やメールで辞める意思を伝えた場合でも、書面での提出が必要になるケースがあるため、指示に従いましょう。

提出方法は手渡しや郵送など、バイト先のルールに合わせることが大切です。円満退職のためにも、最後まで誠実な対応を心がけてください。

まとめ

バイトを飛んでしまうと、バイト先の方々に迷惑がかかるだけでなく、損失を与えた場合は、損害賠償責任の対象となる可能性もあります。

もしバイトを辞めたい場合は、きちんと退職の意向を伝えて適切な手続きを行うことが大切です。最終出勤日まで従業員の一員である意識を持ち、円満退社できるよう責任ある行動を心がけてください。