学生アルバイトは年末調整に関係ある?バイト掛け持ちの際にはどうするかも解説

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働いていると耳にする年末調整。「私は学生アルバイトだから関係ないかな?」と思っていませんか?

実は、学生アルバイトであっても、年末調整が無関係というわけではありません。アルバイトだとしても、年収や状況に応じて年末調整の必要が出てきます。

この記事では、年末調整と確定申告の関係性をまとめました。

この記事をざっくり言うと
✓ 年末調整とは?がわかる

✓ 学生バイトでも年末調整対象者、非対象者について解説

 「年末調整」と「確定申告」どのような違いがあるのか解説

✓ バイトを転職した場合の年末調整・バイトを退職した場合の年末調整について解説

この記事を読んで、年末調整について知り、自分が年末調整に関係があるかどうかを確認しましょう。また、気にかけるべきことがある場合はどう行動したら良いか?確定申告をする必要があるのか?ということもお伝えしていきます。

年末調整と確定申告にどのような違いがあるのかも解説していくので、本記事を読めば、自分の行動に漏れがないかを確認することができますよ。

目次

年末調整とは何か?

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まずは、年末調整の意味について解説していきます。

国税庁が定義する年末調整とは以下の通りです。

給与の支払者がその年最後に給与の支払をする際、給与の支払を各人別に、それまでその年中に給与を支払う都度源泉徴収をした所得税の合計額と、その年中の給与の支給総額について納付すべき税額(年税額)とを比較して過不足額の精算を行うことを「年末調整」といいます。国税庁HPより

文章は「給与の支払い者」と始まりますが、給与を受け取っているのであれば、雇用状態に関わらず、年末調整は関係あるということです。

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年末調整は学生アルバイトでも関係ある

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年末調整で重要となってくるポイントは以下の項目が鍵となってきます。

  • 年収103万を超えているか否か
  • 月収8万8000円を超えているか否か
  • 給与所得者の扶養控除等申告書 をその働き先へ提出しているかどうか
  • 年末の時点でその会社に在籍しているかどうか

この項目のいずれかに当てはまる場合は年末調整が必要となるというわけです。それぞれの項目を詳しく解説します。

年収の基準値:103万円

年末調整対象者としての境界線は年収103万円になります。年収が103万円以下だと所得税は非課税になります。

もし、年収が103万円以下で源泉徴収票が1円に満たない場合は年末調整は必要ありません。

では、源泉徴収とは何かというと

源泉徴収とは、年間の所得にかかる税金(所得税)を企業が給与からあらかじめ差し引くことをいいます。企業は源泉徴収をおこなって、従業員の納税義務を代わりに果たしてくれています。

源泉徴収では、ざっと計算した分の税額が月収単位で差し引かれます。そのため、年間を通して出た差額分を年末調整という形で調整します。

また、年収が103万円以下のアルバイトであったとしても、月収が一定額を超えるとその分の所得税が差し引かれます。

月給のボーダーラインは8万8000円

所得税がかかる条件として、ひと月8万8000円以上の給与を受けていることです。これが肝心と言っても過言ではない目安のひとつです。

月給でもらっている会社員とは違い、学生でアルバイトをしていると「◯月はシフトにたくさん入って、給与が多くもらえた」「◯月はシフトにあまり入れず、給与が少なかった」という波があると思います。

そのため、学生アルバイトの場合はトータル的にみて、年収103万を超えなければ所得税は非課税になる。しかし、月額が8万8000円を超える月があると、もしかしたら年末調整で返金がある場合があるのです。

また、アルバイトであっても年収が103万を超える場合も中にはあるでしょう。その場合は所得税が課税されます。

ちなみに

  • 130万を超えると社会保険料の自己負担が必要になります
  • 150万を超えると所得税の配偶者控除を受けられなくなります

また、親の扶養に入っている学生が大半だと思いますので、103万を超えた場合に扶養が外れることになり、親御さんへの税負担額が控除額の分増えてしまいます。

扶養控除額は38万円〜63万円と言われていますが、扶養控除額を自分で支払いができるほど稼いでいない限りは103万を超えないように働くことが良いでしょう。

親の扶養に入っている大学生アルバイトや旦那さんの扶養に入っている主婦が「働きすぎると税金が多くかかるので損をする」と言われるのはこのようなことからきています。

給与所得者の扶養控除等申告書の提出

給与所得者の扶養控除等申告書については、アルバイト先から渡された扶養控除等申告書に必要事項を記入し、アルバイト先に提出するというのが一般的になります。

大体の場合、入社時に会社側から手渡されて、提出するものです。しかし、アルバイト先から渡されないという場合は、自分から「扶養控除等申告書が欲しい」と話すことが必要になってくるのです。ただし、アルバイトを掛け持ちしている場合は、少々注意が必要です。

バイトを掛け持ちしている場合の年末調整

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バイトを掛け持ちしている場合に注意したいのは扶養控除等申告書を提出できるのは1箇所のみということです。

おさらいになりますが、年末調整の対象となる条件は、以下になります。

  • 扶養控除等申告書の提出がされている
  • 月収8万8000円を超えた月がある
  • 年末の時点でそのバイト先に在籍している

扶養控除等申告書が提出できるのは1箇所のみということは、もしアルバイトを掛け持ちをしていて、他方で発生した収入に関しては

  1. 自分で確定申告をする
  2. (間に合えば)扶養控除申告書を提出している会社に源泉徴収票を提出し、年末調整をお願いする

の2択なのです。

アルバイトを掛け持つ場合、原則として最も収入が多い方の職場をメインとして、メインのバイト先から扶養控除等申告書を受け取り、提出することになります。

扶養控除等申告書を提出したバイト先の年末調整に、掛け持ちしているもう一方のアルバイト先の源泉徴収票の提出が間に合えば、メインのアルバイト先でまとめて年末調整をおこなってもらえますよ。

しかし、ダブルワークが禁止であったり、掛け持ちを内密にしている場合や他方の収入の源泉徴収票提出がメインの年末調整に間に合わない場合は、間に合わなかった分(または、その他理由で提出できなかった分)のみを自分で確定申告をする必要があります。

また、確定申告を行う際は、源泉徴収票が必要となりますので、もらったらなくさずに必ず取っておくようにしましょう。

年内にバイトを変えた、または退職したときの注意点

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年内までにそのバイト先を変えた、もしくは退職した場合においても源泉徴収票は使えます。

その年、最後の12月の給与を受け取っているアルバイト代に関しては、年収が確定するまでは本来の所得税を算出することはできません。

もし、アルバイト先に年末時点で在席していない場合に関しては、アルバイト先である会社側も年収の確認ができないため、年末調整を行うことができません。

12月給与をもらう以前に退職したアルバイト先で源泉徴収されていたとしても、そこでは年末調整されず、退職した企業から源泉徴収票が必ず発行され、本人の元へ郵送されます。 

アルバイト先が移る場合は、その源泉徴収票をもとに現在在籍しているアルバイト先で年末調整をしてもらうか、そうでない場合は自分で確定申告を行わなければなりません。

特に、大学生に多いケースとしては、4年生で就職を4月に控え、1月〜3月にバイトを辞めた場合には就職先の会社にその源泉徴収票を提出して年末調整をおこなってもらう、もしくは、源泉徴収票を提出しなかった場合は自分で確定申告を行うケースです。

年末調整が対象外となるケース

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少ないケースではありますが、年末調整が対象外となるケースもあります。

その一つとして、災害減免法が適用されている場合は年末調整は対象外となります。

災害減免法とは

災害によって住宅や家財に損害を受けたときは、災害減免法により所得税が軽減免除されます。災害のあった年分の所得金額が1,000万円以下の方で、震災、風水害、火災等の災害によって受けた損害額が住宅又は家財の価額の2分の1以上で、かつ、雑損控除の適用を受けない場合は、所得金額に応じて所得税額が軽減免除されます。

※国税庁「No.8004 災害を受けたときの所得税の取扱い

また、学生アルバイトではあまり見受けられないケースですが、年間2,000万円以上の給与所得を得ている労働者も年末調整の対象外になります。

勤労学生控除について

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学生アルバイトの場合は、ある一定の条件を満たした場合、適応される勤労控除についても触れておこうと思います。

アルバイト収入も税金が課されていますが、 一定の条件を満たした学生(勤労学生)にこの制度を活用すれば、課税される税金額に関しては、特別な所得控除である勤労学生控除 というものが存在します。

勤労学生の条件

  • 学校教育法第1条に規定する学校の学生または生徒
  • 国や地方公共団体、または学校法人等の設定した専門学校または各種学校の生徒
  • 職業訓練法人の行う認定職業訓練を受ける人のうち、一定の条件に当てはまる人

勤労学生控除とは、勤労学生であればアルバイトなどの収入に対して一定の条件のもとで所得控除されることです。勤労学生控除額は27万円とされています。

一定条件とは以下のことを言います。

  • 学生本人のアルバイトなどの勤労による所得であること
  • 合計所得金額が75万以下(実際の収入額は130万円以下、ここから給与所得控除額55万を引いた金額)
  • 不動産所得など給与所得以外の所得が10万円以下

勤労学生としての判定の時期は、その年の12月31日の時点。これまでに上記の条件に当てはまっていれば、勤労学生として判定されます。

アルバイト収入をいくらまでに押さえておけば、所得税を払わなくて済むかというと、130万円に満たなければ、勤労学生自身には所得税がかからないことになります。しかし、ここで問題なのが103万円を超えていると扶養する親側の扶養控除が適用されないということになり、親御さんの税額負担が増えてしまいますので注意しましょう。

勤労学生控除に関して、給与所得者の場合は年末調整時に精算可能です。

勤労学生控除を受けるには

  1. アルバイト先で年末調整を受ける
  2. 自分で確定申告する

の2択になります。

アルバイト先で年末調整を受ける場合には、給与所得者の扶養控除等(異動)申告書のなかに勤労学生控除に関する欄があるのでそちらに記載をし、提出します。

自分で確定申告をする場合には、通っている学校が発行した証明書を確定申告書に添付し、提出します。

アルバイト年末調整に必要な書類

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ここまで、年末調整がアルバイトにも関係あるのかどうかについて話してきましたが、関係があるとわかった場合に年末調整で必要な書類ってなんだろう?と思う方も中にはいますよね。

大体の場合は、アルバイト先から用意され、それにしっかり記入をすることで、あとはアルバイト先が年末調整をしてくれます。

提出が必要な書類は以下の通りです。

  • 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
  • 保険料控除申告書
  • 給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書

この3つの提出が必要になります。

それでは、一つずつ見ていきます。

①給与所得者の扶養控除等(異動)申告書

扶養控除等申告書は、その年最初の給与を受け取るまでに提出することが義務づけられています。新規で入社した場合は入社時に書類を記入するはずです。

参考例が国税庁のHPにも出ていますので確認してみてくださいね

国税庁HP『 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書記入例 』

②保険料控除申告書

保険料控除申告書は、その年の最後に給与もしくは、賞与の支払いを受ける日の前日までに提出するものです。この期限を逃すと、自分で確定申告を行う必要があるので気をつけましょう。

また、扶養の範囲内で働いている人は、生命保険料控除などの有無にかかわらず、税額はナシなので、記載がなくても大丈夫

扶養の範囲を超えそうな方は、念のため対象になるものがあれば記入しておきましょうね。

また、この申告書によって申告できる所得控除は以下の4つです。

  • 社会保険料控除
  • 生命保険料控除
  • 地震保険料控除
  • 小規模企業共済等掛金控除

②は年末に会社から渡され、記入次第提出します。

原本は以下になります。ぜひ、確認してみてください。

国税庁『給与取得者の保険料控除申告書 記入例

③給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書

これは名前の通り、3つの申告書が一体となった書類です。

給与所得の基礎控除申告書

給与所得の基礎控除申告書は、納税者の本人の最低限度の生活を維持するため、生活に必要な部分には税金を課さないようにするために設けられたものです。

令和元年分以前の基礎控除の金額は一律38万円だったため、控除を受けるための書類は必要ありませんでした。しかし、令和2年からは納税者本人の合計所得金額に応じて控除額が異なるようになりました。

まず、年末調整において基礎控除の適用を受ける人は、基礎控除申告書の提出が必要です。
基礎控除の控除額は、申告書に記入する人の合計所得額に応じて変わります。

扶養の範囲内で働いている人は48万円となります。 

基礎控除申告書には、本人の合計所得金額を計算した上で記入します。
申告書の記入する時期は一般的にその年の収入が確定する前になるので、収入金額・所得金額はおおよその見積もりで出た金額を計算して記入します。
複数の勤務先から給与を受けている場合は、それらの合計額を給与所得の収入金額に記入します。収入金額を申告書裏面の表と照合し、給与所得の所得金額を算出して記入し、合計所得金額の見積額から判定・区分I・基礎控除の額を出して記入します。

国税庁HP『基礎控除申告書 記入例

配偶者控除もしくは配偶者特別控除

配偶者控除もしくは配偶者特別控除の適用を受ける人は、配偶者控除等申告書を提出します。

配偶者控除の控除額は、申告書に記入する人の合計所得額に応じて異なります。

配偶者特別控除の控除額は、申告書に記入する本人および配偶者の合計所得金額に応じて異なります。

このとき、どちらも確定額ではなく、見積額になります。

また、扶養の範囲内で働いている人は、基本的には扶養される側として配偶者控除等は受けませんから、記入・提出は不要となります。

国税庁『配偶者等控除申告書 記入例

所得金額調整控除

所得金額調整控除を受けるには、所得金額調整控除申告書の提出をします。

しかし、所得金額調整控除を受けられるのは、年末調整の対象となる給与収入の額が850万円を超える人かつ、一定要件を満たす人です。

扶養の範囲内で働いている人は所得金額調整控除を受けませんから、記入・提出は不要となります。

③も年末に会社から渡され、記入次第提出します。そして、翌年分の扶養控除申告書も合わせて提出しますよ。

①〜③の書類に関しては国税庁のHPを参考にするとどのように書くべきかわかります。ぜひ、参考にしてみてください。

国税庁HP『所得金額調整控除 記入例

確定申告とは?年末調整との違いは?

 本記事では、何度も登場した「年末調整をしなかった場合に自分で確定申告をしなくてはならない」という文言ですが、そもそも確定申告とはどんな制度なのでしょうか?わからない人のためにも説明しておきましょう。

確定申告とは、年間の収入や支出を計算して、所得税の金額を計算する手続きです。

不動産収入のある人、個人事業主、住宅ローン控除を受けたい人、複数のところから収入がある人、2000万円以上の給与収入がある人などが確定申告しなくてはいけません。

所得税の金額は「(売上ー経費ー控除)×税率」で計算できます。

年末調整は所得税の過不足を精算する作業です。年末調整をしている従業員は基本的に確定申告は必要ありません。

しかし、別の章でも説明した通り、イレギュラーも生じます。

特にアルバイトでも掛け持ちをしている場合、場合によって扶養控除等申告書を提出していない方の収入を確定申告する必要があったり、アルバイトを年内に退職してしまって年末調整できなかった分を確定申告したりします。

確定申告は自分で税務署に行ったり、インターネットでアクセスして作業を行う必要があり、期間も2月から3月の間と定められています。

自分のケースに当てはめて、年末調整で済むのか、それとも確定申告をしなくてはならないのかを見定めることが必要です。

まとめ

アルバイトでも年末調整に関係あるのか?ということについてお話ししてきました。

おさらいすると、

年末調整で重要となってくるポイントは

  • 年収103万を超えているか否か
  • 月収8万8000円を超えているか否か
  • 給与所得者の扶養控除等申告書 をその働き先へ提出しているかどうか
  • 年末の時点でその会社に在籍しているかどうか

がキーポイントとなってきます。

また、アルバイトを掛け持ちしている場合や年内にアルバイトを変更したり、退職したりした場合についても解説してきました。

自分がどんなところに当てはまっているのかに気を付けて、書類の提出等の必要事項を行いましょう。

例外もあることを忘れずにしましょう。

また、重要なのは、稼ぎすぎても払わなくてよかった税金を納める必要が出てきてしまうことがあるということです。

親の扶養内で働いている学生は、アルバイトでは余程のことがない限り年収103万円を超えないようにすると良いでしょう。103万円をこえてしまうと、扶養から外れてしまい、親の税額負担が増えてしまうことを覚えていると後々困ることもないです。

ぜひ、参考にしてみてくださいね。

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